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令和6年度 国際交流・協力ネットワーク会議に参加して考えたこと

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令和6年度 国際交流・協力ネットワーク会議
 基調講演: 共生社会の実現には何が必要か
~在日外国人が直面する言葉・心・法の壁~
講師は武蔵大学社会学部教授、アンジェロ・イシ氏。
所感①
 サンパウロ市生まれの日系ブラジル人三世であるが、日本に定住して働いて税金を納めている。日本社会の一員として生活していることをもって「在日ブラジル人一世」と発信しています。そうすることで、「未来志向の話がしやすくなる」と考えたからだそうです。わたくしたちが課題にしている「多文化共生」の社会づくりに必要な視点から賛成です。現状や文化の違いや生活習慣の違いなどに目が行くと、異文化対立や差別化に陥ることがあります。ところが「未来志向」だと、共通点や新しい一致点で生活しようとするので、共有事項が多くなります。こうして新しい未来の社会の在り方を作っていくのだと理解できます。

娘さんは日本の病院で生まれたが、日本の法律・制度上ブラジル国籍です。この点に関しては国籍法を改正して日本国籍も認めてほしいと考えているそうです。さらに、日本国憲法が基本的人権の尊重を謳っていても、「外国人の子女は義務教育の対象ではあありません。」これは、子供が不就学に陥りやすい制度です。日本に生まれ育った人には当たり前でも、外国人にとっては、日本人と同じように定住し、納税をしていても、法律、制度上の扱われ方が異なっています。これは公平とは考えられません。
実は、この点は長らく、外国籍の児童生徒が日本語公立学校に就学しない原因となっていました。最近では未就学者の調査も行われていますし、2019年の「外国人生徒児童の受入れの手引き」にも、1度通知しただけで終わらせず、「何回も」知らせることを勧めています。制度を変えずに努力する対応で、驚きますが、以前より進歩しています。日本語支援をするボランティアの対応実態と同じです。はっきり言いますと法律・制度が未整備なのです。このように日本人にとっては保障されている基本的人権ですが、在留外国人の立場からならば見えてくる、「在日外国人が直面する言葉・心・法の壁」について具体例を提示しながらの講演でした。

刀水手帳
作成: 2024/08/04 (日) 19:38:42
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