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「楽しい」って、何だろう?21回「日本語教室を考える」

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21回目
「一円玉は水に浮きますか。」
 休憩を兼ねてこの質問をしてみます。とっさの答えは、「浮きません。」ちょっと考えて・・?「浮くんですか。」ということになります。
 以下は文化的な背景の異なる方々とのお楽しみタイムです。
1) ベトナムの12歳の少年に聞きました。
硬貨を1円、5円、10円、50円、100円、500円と出して見せて聞きました。
日常会話ができるようになったZ君は、「浮きますか。」と言いました。湯飲み茶わんに水を8分目ほど入れてきて、テーブルに置きます。「試してみましょう」と言って、1円玉を浮くように平らに置こうとしましたが、やや傾いたので1回目は失敗しました。それを見ていたZ君は、『「ははん、浮くはずなのだな」』とわかったのでしょう。「僕がやります」と言って、ティッシュぺーパーを取り出しました。2cm角ぐらいにちぎって水面に置いて、その上に1円玉を平らに置き、そのあと、鉛筆でティッシュペーパーをつついて沈めました。成功です。1円玉は水に浮きました。
私の「平らに置くのが、結構むずかしいものなのだ」という心配を打ち砕いた瞬間でした。私にとっては新発見でした。異文化の若者の発想には驚かされます。

2) タイの小学5年生の女子児童と日本語を勉強していました。
今日は日本のお金の種類を見てみましょう。硬貨を出して並べました。「これはいくらですか。」と聞きます。Yさんは、一つずつ手に取りながら「○円です」と言っていきます。お金の金額を日本語で言えました。
これは1円玉です。「水に浮きますか。」試してみましょう。湯飲みに水を入れてきて、テーブルに置きました。
即座に、1円玉を湯飲みに入れ始めました。入れ方を工夫しないでポンポン放り込むのですから、当然、沈みます。好奇心の強いYさんは意欲的に水に入れてみたのです。「浮きません。」
「ゆっくり置きます」「平らに置きます」と言って、水面に置きます。「浮きました。」不思議そうにしばらく見ていました、つついてみました。「沈みます。」
このようすを眺めていたお母さんにもやってもらいました。1回で浮きました。
硬貨の中で一番軽い硬貨です。1gです。台ばかりで計ってみました。その後Yさんは、鉛筆、消しゴムなどいろいろなものを計ってみていました。

3)入門日本語を勉強中の成人のアメリカ人。
 動詞の語彙を増やす目的で、「1円玉は水に浮きますよ。」というと、怪訝な表情をしました。見て下さい。「湯飲み茶わんに水を入れました。」「平らにつまみます」「置きます」「浮きます」「浮きました」「押します」「沈みます」終わりです。感想は一言。『おもしろい!』Mさんも、やってみましょう。成功しました。

3) 好奇心の強い韓国女性、Jさん。
 Mさんの『おもしろい!』を聞きつけてきました。「何が面白いのですか。」
状況を説明して、「この実験でMさんは動詞を4つ覚えました。」というと、早速動詞をメモしていました。
 あらゆる機会に日本語をとらえていく意欲に感心させられました。

 皆さん、今回はいかがでしたか。このような場面をたくさん経験なさっていることと思います。改めて考えて見ると、現場の日本語学習は驚きと興奮の連続です。それらはボランティアのわたくしたちのエネルギー源でもありあます。
楽しいって何でしょうか。

刀水手帳
作成: 2024/03/08 (金) 21:25:16
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