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 楽しいって何だろう?13回目「日本語教室を考える」

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13回目
 Yさんとの日本語の学び。
Yさんは守谷市黒内小学校の5年3組の児童です。半年前の夏休みにタイから日本に来ました。お父さんは日本の方ですが、タイで生まれて、タイの小学校に通っていたので日本語が分かりません。縁あってボランティアでマンツーマンの日本語の学びを始めました。たくさんのことを知っていて、観察眼も鋭く、信頼関係の築けている私には、活発で、率直な意思表示することができる児童です。休み時間の時ですが、同じ会場なので見かけているはずの大人の外国人や日本人ボランティアの前で、改めて自己紹介するとなると引っ込み思案になってしまいます。子供は正直です。この時は「タイの伝統的なおどりの手の指の形を見せる」というパフォーマンスだったのですが、恥ずかしくなってできませんでした。
Yさんは、言語を「絵」で補うことがとても上手です。私も36色の色鉛筆を常備していて、自由に使えるようにしていました。たとえば「新鮮な人参」と「黒カビは生えはじめた人参」を見事に描き分けるのです。観察眼の鋭さと伝達すべき意味内容を見事に表現しています。理科の授業内容を伝えようとして描いたのです。こうしてみると伝達手段が使えれば、詳しく正確に伝えることができるのです。今は、日本語という言語が間に合わないだけなのです。
一方、タイ語を書いて見せてくれたことがあります。私の名前もタイ語の文字で書いてくれました。そんな時に、私もタイ語会話の冊子を持っていましたが、Yさんは日本語も学ぶのですが、タイ語でも示してほしいというのです。このことで分かったことは、「言語を双方向で学び合いながら、日本語を獲得したい」という欲求が存在することです。私の能力の限界もありますが、子どもの気持ちとしては、痛いほどよくわかります。絵やジェスチャーは共通語なので対等に意思疎通している感じになります。つまり、師弟関係ではなく、対等な人間関係で学びたいのです。私もタイ語に関心を持ってもらいたいのです。自分の文化やルーツを「人として」語りたいのです。そうでないと「楽しく」学ぶことができないのですね。ここが言語教育の難しさで、地域日本語教育でもぶつかる壁ではないでしょうか。言語権の保障は、母語の保持と日本語の獲得の両面で配慮されなければなりません。守谷市では行政の多言語対応が遅れています。
みなさんの体験では如何ですか。

守谷市国際交流協会(MIFA) 日本語講座委員会
作成: 2023/03/29 (水) 05:48:35
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