12回目
さて、前回は「論理の飛躍」と疑われるような話題でした。
今回は、短いエピソードをお話します。実話ですが、笑い話です。
私の故郷は長野県の北部地域です。小林一茶の生家の土蔵のある町は隣町です。小林一茶は東葛地域や県南地域で句会をひらいて活躍した江戸時代の俳人です。黒姫高原に連なる森はニコルさんが保護活動をしたことで有名です。そこから数キロの所にナウマンゾウの牙とオオツノジカの角が湖底から出土したことで有名な野尻湖があります。この湖は戦後、駐日各国外交官の避暑地として軽井沢と共に名を馳せ、多く外交官の別荘が周辺に立ち並んでいることで知られていました。私の故郷から、自転車で40分の所にあります。
中学校で初めて英語を学びました。私の時代は英語で、今日のような米語会話ではありませんでした。高校入試が9科目900点満点の時代でした。また、「これはペンです。」の時代だったのです。英語の先生は、米軍の通訳もやった人物で、毎朝職員室の前を通りかかると、英字新聞を広げて読んでいる姿が目に入りました。英語の先生は新聞も英語なんだ・・・。あの頃は、こんなことにも妙に感心したものでした。中学1年生の夏休みんことです。男の友逹と連れだって自転車で、野尻湖へ行くことになりました。習いたての英語を使ってみようと、相談がまとまったのです。「~何ですか。」、「あなたの名前は~」、「すみません~、失礼します~」英語を確認して出発しました。
英国の夫人が親切だろうということで、金髪でカモシカのような脚の夫人を探しました。湖を周遊していると果たして見つかりました。前に回って、呼吸を整えて英語を使ってみました。
「What is your name?」
しばらく、私たち悪童を見詰めてから、静かな微笑みをもって、英語で応じてくださいました。
「Are you a policeman?」
さしもの私たちも咄嗟に悟りました。大失敗だったのです。
英語でコミュニケーションをとろうとしたいと考えていたのですが、私たちは「職務質問」をしてしまったのです。これでは、コミュニケーションになりません。日本語教室の日本語会話も同じですね。私たちはコミュニケ―ションを図るために日本語を学んでいますし、外国の方に支援しています。このことを時に忘れていませんか。これを忘れると表現を覚えても「楽しく」はありませんね。話すことでは、会話・対話・談話が大事ですね。
皆さんにはこんな失敗はありませんでしたか。
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