仏教のお話

無量義経:説法品第二 / 8

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ダルマ太郎 2024/06/04 (火) 11:31:09 修正

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②一法門の行を答える-3
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経:菩薩摩訶薩。是の如く諦かに観じて、憐愍(れんみん)の心を生じ、大慈悲を発して(まさ)救抜(くばつ)せんと欲し、またまた深く一切の諸法に入れ。

論:凡夫は、真理を知らないために分別をし、我に執着し、悪事を重ねて苦の世界を輪廻します。そのことを観じたならば、憐みの心を生じ、大慈悲の心を起して、救済することを欲し、再び深くすべての事象を観察するようにと説いています。苦しんでいる人々を救うためには、憐みの心、大慈悲の心が必要だということでしょう。慈悲とは、自分と相手を分けずに、相手を自分として関わることです。そして、事物・現象を深く観察することが勧められています。
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経:法の相 是の如くして 是の如き法を生ず。法の相 是の如くして 是の如き法を住す。法の相 是の如くして 是の如き法を異す。法の相 是の如くして 是の如き法を滅す。

論:如とは、真理のことですので、真理のままに事象は生じ、維持し、変異し、滅します。真理によって事象は生じ、維持し、変異し、滅します。現象は真理によってあるということです。
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経:法の相 是の如くして よく悪法を生ず。法の相 是の如くして よく善法を生ず。住、異、滅もまたまた是の如し。

論:悪が生じるのも、善が生じるのも同じです。悪意は、真理によって生じ、維持し、変異し、滅します。善意も真理によって生じ、維持し、変異し、滅します。住、異、滅も同じです。
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経:菩薩 是の如く四相の始末を観察して、悉く遍く知りおわって、次にまた諦かに一切の諸法は念念に住せず、新新に生滅すと観じ、また即時に 生、住、異、滅すと観ぜよ。

論:菩薩は、生住異滅という現象の変化を観察して、悉く遍く知り終わったなら、さらに深く観察します。そして、一切の現象は、瞬瞬にとどまることなく、新新に生滅することを観じて、即時に変化していることを観察します。たとえば、ロウソクの火は、瞬間的に生じ、維持し、変異し、生滅します。維持すると言ってもほんの一瞬です。たくさんの火が生じては滅することによって火は燃え続けています。
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経:是の如く観じおわって、衆生の諸の根性欲に入る。性欲無量なるが故に説法無量なり、説法無量なるが故に義もまた無量なり。

論:根性欲とは、機根・性質・欲求のことです。機根とは、教えを受けて理解する能力のことです。この機根・性質・欲求もまた瞬間的に生じ、維持し、変異し、生滅します。まわりの変化によって、どんどん変わりますから根性欲は無量です。しかも、たくさんの人々を救済するためには、人それぞれの根性欲に合わせますので無量です。このように衆生と関われば、根性欲は無量なので、説法は無量であり、説法が無量なので、教義もまた無量です。
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一法門の行を答える-3
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