仏教のお話

Rの会:譬諭品第三 / 30

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ダルマ太郎 2024/05/14 (火) 11:14:43

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長者虚妄せず
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経:舎利弗。汝が意に於て云何。この長者、等しく諸子に珍宝の大車を与うること寧ろ虚妄ありや不や。舎利弗の言さく。不なり。世尊。この長者、ただ諸子をして火難を免れその躯命を全うすることを得せしむとも、これ虚妄に非ず。何を以ての故に、もし身命を全うすれば便ちこれすでに玩好の具を得たるなり。況んやまた方便して彼の火宅よりしかも之を抜済せるをや。世尊。もしこの長者、乃至最小の一車を与えざるも、なお虚妄ならじ。何を以ての故に、この長者先にこの意を作さく。我方便を以て子をして出ずることを得せしめんと。この因縁を以て虚妄なし。何に況んや、長者自ら財富無量なりと知って、諸子を饒益せんと欲して等しく大車を与うるをや。
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太郎訳:シャーリプトラよ。あなたはどのように思いますか? この長者が平等に子供たちに対して珍しい大車を与えたことは、嘘をついたことになるのでしょうか? 尊者シャーリプトラは答えました。いいえ。嘘をついたことにはなりません。世尊。この長者は、子供たちを火宅から救出し、その身体と命を助けたのですから、これを、嘘とは申せません。なぜならば、もし命が助かれば、欲しかったおもちゃも得たことになるからです。しかも、おもちゃを与えようと言ったのは、方便によって、子供たちを救おうとしたからです。世尊。もし、この長者が、たとえ小さな車を与えなくても、それでも、嘘をついたことにはなりません。なぜならば、この長者は、先にこのように考えました。方便によって子供たちを救うのだと。長者は、方便によって子供たちを実際に救ったのですから、このことからも、嘘をついたことにはなりません。ましてや、この長者は、自分に無量の財産があることを知っておリ、子供たちに慈悲をもって幸せに導くために、大車を与えたのですから、嘘をついたことにはなりません。
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長者虚妄せず
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