さて、実際に感染が成立した細胞を集めてこよう。接触ではなく、感染すると、細胞表面にVirus由来の外来蛋白が出現するから、蛍光抗体法などで同定できるし、それを「選別」する機械もたとえば私の手元にはある。その上澄みから、サンプルを集めると、SARS-CoV2が「わんさか」とれる。数十個のレヴェルではなく、百万とか億のレヴェルだ。
これを鋳型にしてPCRを行うと、25周期ぐらいからシグナルが見え始め、30前後で頭打ちになり、これ以上やってもシグナルは増えない。なので、Ct値を28に設定すると、ちょうどマックスのシグナルの75%ぐらいのシグナルが達成できる。科学検定の一般論は、増幅されるリードアウト=目安となる信号が、線形であるフェイズで止めるというもの。これが基本論理。
同じCt値で、単に「Virus」に接触したサンプルを集めると信号はゼロ。35サイクルぐらいでやっとかすかに見えてくるぐらいのもの。
感染騒ぎ=COVIDの初期には、とにかくポジティヴなシグナルを求めて、現場では、60サイクルとかとんでもない増幅をしていた。これは確かに無意味。だが、その後、医学・生物界も馬鹿じゃないから学習して、ガイドラインができた。今、感染と接触を区別できなかったらそれは、相当程度が低い。 COVIDが医学会・科学界を、次のより深刻なPandemicに備える助けとなったとはこういうこと。
だから、感染と接触を区別できないというのは、Disinformationだと私は思う。
実際にPCRを日常的に使う一研究者として。
SARS-CoV2については、これが「完全に過ぎ去った」しかも「実体のない蜃気楼」だという指摘は、完全に同意できないにしても、否定できない「重大なメッセイジ」を含んでいると思う。実際に表面に出てこない情報は、数えきれないほどあるだろうし、生物兵器開発をUSや中国、ソ連、EU諸国がかなり真剣に推進していることも、間違いない事実だろう。そこの政府にも「被害妄想」的な人間はいるし、核兵器と同じで、相手が開発する「可能性」でもあれば、こちらも当然「Countermeasure=対抗策」を講じるというのは、マンハッタン計画以来、人間の悲しいサガだから。ただ、USの文化にも、「際限のない報復サイクルを止めるために時にはこちらがまず剣を収める必要があるのでは」という懐疑もないわけではない。
もう一つ、可能性は大きくないとはいえ、Virusの変異と「進化」はまだ終わっていない。SARS-CoV2が「非常に病原性の高い」変異を獲得する可能性はゼロではない、そもそも、SARS-CoV2が属するコロナ属のVirus全体が、まだ人類にとっては新しい「寄生生物」なのだ。
今回医学会・科学界がこの新しいグループのVirusについて学んだことは、将来必ず生きてくると私は思っている。そして、Antibody-dependent enhancement (ADE)については、確かに看過できない大問題だ。
ただ、まだ情報が少なすぎる。そして、時間経過を見ないとこれまた何も言えない。
次は、SARS-CoV2検査方法の「感度」「特異性」についてStandさんが提示する「問題点」について、再び実地にVirusを扱うこともある一研究者として疑問を呈してみよう。
来週も今週と同じサイクルが続くだろうから、また週明けになるかな?