「絶妙なタイミングだったぜ…さあ、今度こそ、終わりだ!!」
ザシュッ!!
撃ち終わりの隙を突き剣はジュラファイグにチャージブレードの直撃を叩き込んだ。
「何…だと…」
ジュラファイグはそう言い残し機能停止した。
「終わったよ、博士。この後は…?」
「ジュラファイグを回収して、調べてみる事にするわ…」
剣が報告すると彼はジュラファイグの残骸と共に基地内へと転送された。
基地内にて。
「レプリロイドの集団、デルタナンバーズか…これは思ったより厳しい戦いになりそうだな…」
剣が呟く。
その意味は単にレプリロイドが強敵だからというだけではなく精神的な意味も含まれている。
「私が…レプリロイドを造ったばっかりに…こんな事に…」
罪悪感に苛まれつつあるシェリー。
基地内は暫し重苦しい雰囲気が流れるが…
「…デルタは言わば問題を起こした家出少年みたいなものじゃないか。
家出少年を説得してお母さんの元に返してあげる…今まで神崎がやってきた事と何も変わりはしないよ。
ちょっとスケールが大きいだけだって…」
劾がそっと剣に声を掛ける。
そして玲がそれに続くが…
「そうそう、悪いのはデルタなんだから!『お母さん』を悲しませるデルタにも…
『おばあちゃん』を悲しませるデルタナンバーズにも…きちんと誤って貰わないと!!」
「「お、おばあちゃん…」」
「こ、コラ!何てこと言うの!!私はまだ49よ!!」
シェリーが口では怒りつつもこれまで重苦しかった空気は幾らか和んだのであった。
後日…
「それでよ、ロックマンが合図すると俺は秘密基地に瞬間移動したんだよ!
しかも基地の中には知り合いがいたんだぜ!!」
檜町公園での出来事を知人に言いふらす氷藤だったが…
「え?瞬間移動?ロックマンの仲間の知り合い?まーたいつもの嘘が始まったよ…」
「いや本当だって!信じてくれよ!!」
誰も「本当の事」を話しても信じて貰えなかった。
尤も、これは氷藤だけでなく誰が言っても信じては貰えないだろうが。
そして一方、紫安に迫る怪しい影が…
「ハァハァ…紫安ちゃん…皆を愛するとか言うなら…僕だけを愛してくれないなら…
いっそ死んで永遠に僕だけのものになってくれよおおおおおお~っ」
凶悪なストーカーが紫安を襲撃するも…
ガブッ!!
「ギャーッ!!」
何と紫安は噛みつきでストーカーを撃退したのであった。
この件に関しての「噛むタイプのアイドルです」という彼女のコメントはその年の流行語の1つになったという。
かくしてジュラファイグによる「嘘ニュース事件」は幕を閉じた。
しかしジュラファイグを始めとするデルタナンバーズもまた、制作者デルタによって
極めて残酷な嘘で騙されている事をこの時は誰も知る由も無かった…
続く