ににんがし

【えんどうけいこ&ユタカB】 / 87

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触れば直ちに崩れてしまう
砂上の城にすぎない夢の中で
生死のあわいをたゆたっている

気づけば電車に乗っている
とろけたバターさながらに
昨日と明日、過去と未来を
循環する意識の中で
ときおり神とあいまみえる

自然と口からこぼれた言葉は
ビスケットのかけらのごとく
地表に撒き散らされている
ああ、願わくは
誰かの足に踏まれる前に
啄む鳥の慰みとならんことを

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  • 88

    コトバを咥えた鳥は囁く
    コトバと囀りの曖昧さに
    鳥のクチバシは過去に置き去りにされ
    神のカラダの中に溶け込んでいく
    神のカラダは紙にコピーされ
    滲んだインクの中に
    コトバは閉じ込められていく
    詩人がA4のコピー用紙に刻まれた
    神の詩を読み上げる
    紙に書かれた歴史は
    書いた者の歴史であり
    虚と実のあわいは
    コトバをなぶり殺しにしていく
    神は閉じ込められて初めて
    人の愚かさを知り
    詩人は読んで初めて
    神の尊さを知り
    HEY!Siriと呼び出された
    A.I.の曖昧さに人は笑うのだろう