《蝕》
縦のカギに「ジュウガツ」って埋めたら横のカギには「ナツゾラ」しか埋まらないの、変でしょ
忘れたころに漏れ出る秋風は懸賞の範囲外です、バイバイ
薄手の長袖は早々に出番をなくして箪笥の奥にしまった、バイバイ
ずれきってずれきって咲かなくなった
一年に一度だけその花を部屋に飾る
冷凍庫から取り出したスプーンを頭上に掲げる
冷房の効いた部屋で夜間を沸かしている
使えない葉書を燃料にしている
ただいま
建前の工事に忙しいためこの道を封鎖しております大変ご迷惑おかけします二度と通らないでください
お互い■人になれないことを知ってるから骨太の手でも握っていればいい
鍵穴には誤字が詰まってるけどノックしたって開けてやらない
空をすくってあいた穴、は甘くない
スプーンの白濁を舐めとって光を落とした
先日の村のプロローグで<月下美人> <パズル> <夢見がち>をテーマに作成したものです。
投稿ありがとう。
視線と語韻のスライドのさせかたが巧いなとおもいました。
(ひとつ前に白川ユウコさんが投稿した「透明な注射器」ともすこし似ている)
ただ、全体として、
ちょっと狙いすぎな部分(「夜間」等)と
勢いが一回り半している部分(「建前の~」等)が
あるようにおもいます。
お題を消化する動きのなかで、詩の背骨がちょっとぐらついている。
たとえば「パズル」は冒頭ですでに
一般の絵面じゃなくクロスワードを示唆しているから、
その伝で押していっていいし、
3つお題があるなら「テーマ」「モチーフ」「ギミック」をはっきりわけると着地させやすいかな。
ひとつひとつの表現であったり、
イメージの接続はやはり独特のものが
あるとおもうのですこしもったいない気がします。
そして、これはわがままだけど、
個人的には、テーマ由来じゃないものも読みたいな、とおもう。
どうしてかというと、
テーマが(特に複数以上)あると
詩の評価として「いかにそれを咀嚼したか」
という切り口が出てくるので、
それこそパズルじゃないけど、
詩作がゲーム的になるんだよね。
(そのこと自体は何も悪くない)
りっちゃんが素で書く詩に興味があります。
いろいろ言ってごめん。
今後もたくさん読ませてね。