さて、今日も、ちぐはぐな靴下で街へ出かけよう。
お気に入りのイエローと、おろしたてのスカイブルー。
最寄り駅の階段は、一段ごとに抜かれていて、
「崩れたジェンガは様式美です!」と、
派手なスーツの政治家が繰り返し、
くりかえし叫んでいる。
そういえば、
イヤホンするのを忘れていたな。
コンビニで肉まんと耳栓を購入すると、
どこぞのアイドルにも似た店員さんが、
貼りついたスマイルで見送ってくれた。
たぶん、きっと、この人も、
日常を受け入れてしまった一人なんだろう。
モザイクがかっていく背景をよそに、
私は、ポケットからアイマスクを取り出す。
肉まんの匂いが宙に浮かんで、
「さようなら、日常」
清濁併せ呑むということは、
静寂を好むことに似ていた。