仏教のあれこれ

通達位少考 / 6

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鹿野苑 2023/12/11 (月) 07:06:06

以下、主な要語の解説をしようと思います。

  >次通達位其相云何。頌曰
 (次の通達の位の其の相云何ぞ。頌曰く、)
 >若時於所縁 智都無所得
 (若し時に所縁の於に、智都て所得無くなんぬ。)
 >爾時住唯識 離二取相故
 (爾の時に唯識に住す、二取の相を離れるるが故に。)
 >論曰。若時菩薩於所縁境無分別智都無所得。
 (論に曰く、若し時に菩薩いい、所縁の境の於に無分別智いい都て所得無くなんぬ。)
 >不取種種戲論相故。爾時乃名實住唯識眞勝義性。
 (種々の戯論の相を取らざる故に。璽の時に乃し実に唯識の真勝義性に住すと名づく。)
 >即證眞如智與眞如平等平等倶離能取所取相故。
 (即ち真如を証する智と真如と平等平等にして、倶に能所を離れざるが故に。)
 >能所取相倶是分別。有所得心戲論現故。
 (能取所の相は此れ分別なり。有所得の心のみに戯論は現ずるが故に。)

通達位とは、瑜伽行唯識学派における五段階(資糧位・加行位・通達位・修習位・究竟位)の修行の階梯を云います。
またの名を見道ともいい、初めて悟りの智慧が発言する段階となります。

「頌曰」と「論曰」は、頌は唯識三十頌を、論は成唯識論を云います。
即ち成唯識論は唯識三十頌の解説書って事です。

「所縁」は「相分、捉えられるもの、対象等」を「能縁」は「見分、捉えるもの、主体等」を意味します。

「二取」は我見・法見。

「いい」は強調です。

「平等平等」とは、
 >心と境相称ひ、如と智とを冥合して倶に二取を離れ、諸の戯論を絶したり。故に平等平等と名く
 >(『国訳大蔵経』より)

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