>加行無間此智生時體會眞如名通達位。
(加行の無間に此の智の生ずる時に、真如に体得すれば、通達位と名づく。)
>初照理故亦名見道。然此見道略説有二。
(初めて理を照らすが故亦見道と名づく。然も此の見道に、略して説かば二有り。)
>一眞見道。謂即所説無分別智。
(一には真見道。謂わく、即ち説きぬる所の無分別智ぞ。)
>實證二空所顯眞理。實斷二障分別隨眠。
(実に二空所顕の真理を証し、実に二障の分別の隨眠を断ず。)
>雖多刹那事方究竟而相等故總説一心。
(多刹那に事方に究竟すと雖も、而も相等しきが故に総じて一心と説けり。)
>有義此中二空二障漸證漸斷。以有淺深麁細異故。
(有義は、此れが中には、二空と二障とを漸く証し漸く断ず。浅深と麁細と異なることを有るを以ての故にという。)
>有義此中二空二障頓證頓斷。由意樂力有堪能故。
(有義は、此れが中には、二空と二障とを頓に証し頓に断ず。意楽の力堪能有るに由るが故にという。)
>二相見道。此復有二。一觀非安立諦有三品心。
(二には相見道、此に復二有り。一には、非安立諦を観ずるに三品の心有り。)
>一内遣有情假縁智能除軟品分別隨眠。
(一には、内をして有情の暇を遣って縁ずる智。能く軟品の分別の隨眠を除く。)
>二内遣諸法假縁智能除中品分別隨眠。
(二には、内をして諸法の暇を遣って縁ずる智、能く中品の分別の隨眠を除く。)
>三遍遣一切有情諸法假縁智能除一切分別隨眠。
(三には、遍く一切の有情と諸法の暇を遣って縁ずる智、能く一切の分別の隨眠を除く。)
>前二名法智各別縁故。第三名類智總合縁故。
(前の二をば法智と名く、各別に縁ずるが故に。第三を類智と名く。総合して縁ずるが故に。)
>法眞見道二空見分自所斷障無間解脱。
(真見道の二空の見分が、自所願の断の障のおいて、無間と解脱とあるに法すること。)
>別總建立名相見道。有義此三是眞見道。
(別にし総ずるを建立して相見道と名く。有義は、此の三は真見道なり。)
>以相見道縁四諦故。有義此三是相見道。
(相見道は四諦を縁ずるを以ての故にという。有義は、此の三は相見道なり。)
>以眞見道不別縁故。二縁安立諦有十六心。
(真見道は別に縁せざるを以ての故にという。二には、安立諦を縁ずるに十六の心有り。)
>此復有二。一者依觀所取能取別立法類十六種心。
(此れ復二有り。一には、所取と能取とを観ずるに依って、別に法と類との十六種の心を立つ。)
>謂於苦諦有四種心。一苦法智忍。
(謂く、苦諦に於て四種の心有り。一には苦法智忍。)
>謂觀三界苦諦眞如。正斷三界見苦所斷二十八種分別隨眠。
(謂く、三界の苦諦の真如を観じて、正しく三界の見苦処所断の二十八種の分別の隨眠を断ず。)
>二苦法智。謂忍無間觀前眞如證前所斷煩惱解脱。
(二には、苦法智。謂く、忍の無間に前の真如を観じて、前の所断の煩悩の解脱を証するぞ。)