ネパールから来たインドカレー店のシェフ、Pさんと日本語を学んでいます。Pさんは、ネパール語が母語で、そのほかにヒンディー語と英語を話します。現在は日本語を習得中です。日本語の文字では「ひらがな」「カタカナ」の読み書きができます。現在、語彙を増やすことが課題で、漢字は今後の課題です。
日常会話では、日本語のセンテンスを完成させることがまだできません。英語交じりの会話になります。外国の方は、スマホを上手に使って会話も学習もしています。
奥さんは妊娠中で、仕事を離れています。夫婦での住居探しが続いていましたが、3月に県営住宅に入居が決まりました。ひとまずは安心できます。
賃貸契約のことですが、契約書を見せてもらいました。内容は、日本の伝統的な契約書です。家賃、敷金。請書、連帯保証人、・・・。以前よりは簡略になったようですが、文字は漢字が必要です。名前はアルファベットにカタカナのフリガナでよいのですが、Pさんにはまだ書けません。Pさんの依頼は、「漢字が書けないので書いてください。」というものでした。
見せてもらった書類は、知人に書いてもらって、いったん提出したものでした。訂正要請が4か所ほど来ていました。日本人からすれば単純な「漢字の抜けた個所」もありました。漢字かな交じり文を書いた経験がないと気づくことができないことです。
「かすれないように、印鑑を押してください。」「文字が抜けています。」丁寧にきれいな字で書いてありますが、漢字が読めず、日本語の意味も理解できる語彙段階ではありません。日本語の意味を伝えながら、代書することにしました。
印鑑は作って要求があれば使っていました。まだ「サイン」でいい書類にはなっていないのですね。アルファベットならば自分で書けるのですが、漢字で書くことを求められると難しいですね。住所もローマ字で書いていいようにすれば、ほとんど自力で書けます。社会の生活場面での書類の改革が待たれます。
安心して生活できれば、ゆとりが持てて、楽しいひと時も生み出せると感じました。
新聞に、笠間市や牛久市での外国人を公務員として採用した事例が載っていました。これも現在進展しているわけではないようです。自治体は慎重姿勢です。国の政策も地方自治を制限する方向にあります。笠間市、牛久市、つくば市は「国籍条項」を撤廃しているが、いずれの自治体でも採用が継続していない状況とありました。茨城県は現段階では「国籍条項を撤廃する予定はない」そうです。
「生活者としての外国人」との多文化共生の地域社会づくりでは、川崎市が先行しています。日本の政治が移民政策を考えるようになれば、もっと開かれた社会となるでしょう。そうなれば「安心」を基盤に置いたうえでの「楽しい」日常生活が実現できるにではないでしょうか。草の根の歩みはゆっくりとですが皆さんと進めていきたいと願っています。
宮本敏弥(地域日本語教育コーディネーター:文化庁H29研修修了)