ここまで、三段階の空の理解についてお話してきました。「空」の初歩の理解が「有る無し」の実体思想で理解する「析空」です。これはモノを客観的に見る科学や物理学と同じモノの見方です。(此縁性縁起)
次にその客観から主観に意識を切り替えて心で体感する「体空」を龍樹が相依性縁起として『中論』で顕します。
三段階目の「空」は世親が顕した『唯識』で説かれる〝概念〟から起こる「時間の流れ」という出来事を空じた「法空」です。
そしてこの自然界の法則を空じる「法空」に対し、人の主観と客観を空じる「析空」と「体空」を「人空」と呼びます。
人空=主観と客観を空じる ---(析空と体空)
法空=法を空じる ---(法則を空じる)
仏教では真理として「法」が説かれております。これは〝概念〟ではなく〝真理〟です。ここの違いが分からない人が、
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「南無妙法蓮華経(真理)は宇宙の法則(概念)なんです。」
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などと言いだします。法則は人間の〝概念〟によって造り出された科学的、物理学的、数学的定義であるところの「学術的概念」でしかありません。
仏教で説かれている「法理・法門」は、一切衆生を救いたいと願う仏の深い慈悲の心で説かれた「真理の教え」です。
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