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2018/03/12 (月) 16:21:15
土を喰う日々 水上勉 著
何時だったか、精進料理についての話を坊主から聞いた。
普段家庭では捨ててしまう野菜の部位を大事に取っておいて料理するという。
根の部分は丹念に土を落とし、葉の黄色くなった部分も芯の部分も大切に使うという。
その話が心に引っかかっていて、ふと思い出し精進料理についての本を探してみた。
どれも結構良いお値段で、ちょっと知りたいだけの私には買う気になれなかった。
ところが、この本は文庫本かつ古いというのもあるのだろうが、アマゾンで安く売っていたので買ってみることにした。動機に反して、読んでみると結構良い本だなーと思ったので紹介してみる。
水上勉さんは直木賞作家ですが、子供時代に禅寺で陰侍として修行し、その体験から得た経験や子供時代の家庭環境などから食に対する考えを確立された。作家になってからは軽井沢の別荘で畑を耕したり山野草を集めたりしながら料理(食)を研究する日々を過ごしている。
色々なエピソードを交えながら、軽快で読みやすい文章で食に対する考え方を教えてくれる。山菜などの話では、私たちにも馴染みがあるので面白く読ませてもらった。日本の食文化って奥が深いと思わせる一冊でした。
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長ネギの根っこの天ぷらとか結構美味くて好きなのですが、根っこを洗うのにすっごーい手間が掛かってその割にちょっとしか食えないから、全く割には合わない。まあ割に合わないことをするのは嫌いではないのでやっぱりやってしまうのですが。
精進料理って、別に熱心な仏教徒でなくても年齢的にそのようなものを好むようにもなってきている今日この頃。
久しぶりに焼き肉でも食ってみようかなぁ。けど翌朝もたれてつらいんだろうなぁ。
そんなエピソードも書いていました。
ほうれん草の根の部分を捨てていたのを和尚に見つかり「一番美味しいところを捨ててはいけない」と諭されたそうです。それでよく洗って葉の部分に混ぜてみると、ほんのり甘みがあって美味しかったそうです。根ばかりだとキツイけど、葉と混ぜることで味が引き立ったと言います。以来、料亭でもほうれん草の浸しを見ると、無いと分かっていても根を探す癖がついたそうです。
精進料理で言うと「全ての品物を調理し支度するにあたって凡人の眼で眺めてはならぬ。凡人の心で考えてはならぬ。ほうれん草の葉もヘタも同じなのである。どっちを尊び、どっちを蔑むことがあってはならぬ。品物の善し悪しに心を動かしてはならぬ。物によって心を変え、人によって言葉を改めるのは、道心ある者のすることではない。」ということです。難しいですね。