ペナトピ・Deracine版

セイバーメトリクス・データ・統計・確率 / 22

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USA 2023/05/25 (木) 00:35:20 修正

好調タイガースを見るのは嬉しいが、気になること。

SLGというスタッツがある。周知のように長打率 (といっても本当の長打の指標ではない、下に示すようにより長打に特化したスタッツもある)。

打者の総合的な能力=どれだけ得点を作り出せるか(この得点は、打点得点のそれではない。野球ゲイムにおける総合得点ということ)を見るには、OPSのほうが相関が高い。だから、SLGが取りざたされることは少ないが、OPSは、出塁率も含まれているから、純粋に打力としてみるなら、SLGのほうに反映される。

現在のタイガース打撃陣で、SLGトップは・・・・・・近本 0.495ぐらいの数字だ(追記、今日の活躍で佐藤が少し上にでた)。
近本の頑張りは褒めるべき。
同系統の打者だった赤星は、生涯平均SLGが、0.340 

近本のSLG生涯平均は0.400に近い(が、SLGは他のスタッツに比べて年齢とともに衰えるスピードが速い、28歳の近本にとってこれから先急速に下がってゆくことが予想される)。
立派な数字だ。出塁率も>0.400だ。切り込み隊長として十分以上だし、盗塁能力など関係なしに1番の適役だ。

問題なのは、中軸を打つべき主力打者たちだ。

大山は、2020年SLG=0.560で、これはほぼ合格の成績だが、生涯平均では0.450。このクラスは、常時0.550以上を出していないと合格とは言えない。今年は、0.500に達していない。

佐藤は、現在やはりSLG=0.500に到達していない(から近本がティーム1なのだ)。ただ、佐藤の場合、SLGが低いのは打率AVGが低いためで、純粋な長打力といわれるIso P=SLG-AVGでは、デビュー以来0.200以上を常時マークしている。この数字は長距離を期待される打者としては、合格最低点だ(因みにヤクルトの村上は、0.300以上、元オリックスの吉田が0.250ぐらい)が、一応立派と賞賛できる。
Iso‐Pは、疎外されていて、普通の簡易野球サイトのスタッツには組み込まれていない。

近本のIso Pは、0.100~0.130と一軍レヴェルとしては並みか少し下(レギュラーなら0.130は投手捕手を除く全員に期待したい)。長打ではなく、塁に出る能力で貢献するタイプ。返されるべき打者だ。大山が寂しいのは、Iso Pがキャリアハイの2020年を除いて、長距離打者と見なせる最低限0.200に到達しないことだ。
つまり、大山はアヴェレイジヒッターで、現在のタイガース打線で一応長距離砲と見なせるのは、佐藤だけということだ。もちろん、アヴェレイジヒッターでも「返せる」が、大量得点にはつながりにくい。

Iso Pでランクを見ると、佐藤の次が、渡辺原口と、レギュラーではない。ノイジ、ミヱセスなど、0.150すらいっていないから、「助っ人」としては問題外のレヴェルだ。

佐藤には、打率=AVG、つまりコンタクトの問題がある。この先も飛躍的に上昇することはないだろう。こういう打者を、主・中軸に置くべきなのか正直わからない(クリーンナップという言葉はMLB的に打線のトップの打者にだけ使いたいから、トップ3人のトリオを主・中軸というが、これは、3,4,5という旧来のコンセプトではなく、得点力から見れば1,2,4の3つのポジション)。佐藤のように長打に特化した打者を6番辺りに入れてスウィーパーとして使えるなら破壊力抜群の打線になるのだが、現在のタイガース国産打者を見る限り、佐藤を4番に入れざるを得ない(より大事な2番に入れれば、近本のチャンスメイクを無駄にしてしまう、2番は返し返される打者が望ましい・・・期待の森下はまだ安定した数字が出ていない)。加えて強力な非日本人枠助っ人が最低一人(打率0.280以上、Iso-Pが0.250程度のパワーヒッター)いないと長期安定した結果は出ない。バウァが日本に来たように、今のNPBマーケットは、MLBプレイヤー(特に能力以外の問題でMLBにいづらくなった)にも結構注目されているから、スカウトが頑張れば、昔ほど困難ではないはずだ。
そして、長距離砲候補のドラフトも真剣に継続すべき。

今年は岡田効果と他ティームの沈下で、結果はついてきそうだが、今年で終りじゃないのだから、仮に結果がでても編成は胡坐をかかず、長期展望を見失わないでもらいたい。

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