>> 165
「ふむ…正式な取引であれば、確かに私が何か言うことは在りませんね」
御幣島の曖昧な笑みとあくまで冷静な口調に、少なくとも今回は叩かれて出る埃はないという自信を感じた。
左目を開けば過去を見ることも可能だが、被害者が出ていない以上過剰に掘り起こす事もないだろう。
何より、確信があった。無理にこの場で実力行使に出ればこの男は何かをしてくる。
戦えば此方が勝つだろうが、全力で抵抗を試み後で割に合わなかったと思わせる被害を与えて来るだろう、そう人に思わせる凄みとでもいうものが御幣島にはあった。
「ここの辺りは治安は良いですが、御苑にはそうではないところもありますのでお気をつけて。ご協力ありがとうございました」
口元を歪ませ作り笑いを浮かべる
少なくとも敵意はない、これ以上はやりあうつもりもないと示すために
>> 169
「繰り返しますが32回目ですから、気を付けるように」
そうは言うが、どうせ言っても聞きやしないだろうという諦め半分。
辻切りの半分くらいがボッティ位聞き分けが良かったら楽なのにというどうでもいい考えが残り半分。
御幣島との会話での緊張感が僅かに弛んだ。
>> 166
「……っ!……ふっ!」
耐えきれなかった。
ミュージアムキーパー御幣島への牽制の為に強張らせていた表情が破顔する。
「あはははははははっ!いやはや左京のハービンジャー、どんなサーヴァントかと思えば想像以上にユーモアがある!」
「あー、失敬。久しぶりに笑わせて貰った。自分は警ら途中ですのでこれで失礼を。最近は物騒ですので皆さん、どうぞお気をつけて」
自分の職務内でこれ以上やれることはない。
そう判断した刃矢は三人に頭を下げるとゆっくりとその場から立ち去る事にした
/(これで〆とさせていただきます。お疲れ様でした!)