kagemiya@なりきり

泥モザイク市 / 169

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サンドロ・ボッティチェリ 2020/05/15 (金) 23:11:12

>> 164
「げ!クロハバキサン………!」

黒脛刃矢………KBEC、御所外苑部屯所の小隊長。すなわち、ここらあたりを常に警戒しているKBECの総まとめ役だ。
彼は何度もお縄になっているため、その顔にはよく見覚えがある。大抵は説教を受ける事から苦手でもあった。

「いやあ、今後からは気を付けますから!どうかご勘弁を!」

彼がまったく同じセリフを言うのはこれが8回目であった。
そのような常態化したやり取りの中で、彼はある違和感を発見する。

「…んん?ミュージアムキーパー?確かに僕は画廊やってますけど……」

黒脛の言葉はいつも彼に向けるような、(彼としては珍しい)呆れた気の抜けたような態度とはかけ離れていた。
どちらかと言えば、重大な事件の容疑者を牽制するかのような鋭く強張った口ぶり…それが御幣島の方に向けられている事に気付いた彼は、目を輝かせて御幣島を見た。

「もしかして御幣島サンも画家だったりするんスか!?……な〜んだ、僕の創作に興味があるなら最初から言ってくださいよ〜!」

ボッティチェリは軽い口調で御幣島にそう諭す。それが大きな誤解であった事は、彼もすぐに知るところとなった。

>> 165
「なかなか痛いところを突きますね……!尊い愛にとって邪魔なのは他ならず僕自身!それは痛いほどに僕を惑わせる問題ですからね。はあ、いっそ壁のしみか大気にでもなれたらいいんスけどねえ……」

信奉と言うものは往々にして、合理的な判断から人を遠ざける。サンドロ・ボッティチェリもまた、言葉の示すところによる「信者」にほかならなかった。
愛の探索と言う行為自身が愛を破壊する事もある……まったく正当な論理だが、それによって彼を行動から突き動かすほどではなかった。何よりもボッティチェリには少なからず確信があった。愛はひとつきで崩れるものではないと…

「(御幣島サンにはバレてないみたいですし)」

>> 166
「そんなあ!?」

ノイマンの導いた数値としての計算結果はしかし、彼にも多少ならず影響を与えたようだ。がーん、と言う音が聞こえてきそうなショッキングな表情で口を開け、彼は叫ぶ。
数値によって行動の非正当性が示されてしまえば、彼としても認めざるを得ない。もはや白昼堂々とストーカー行為に及ぶ理由はなくなってしまったと言えるだろう。
ガックリとうなだれてしまったボッティチェリは、そのまま言葉を続けた。

「分かったっス………次からはちゃんと保護色を使いますよう…………」

これが愛の信奉者、サンドロ・ボッティチェリという男であった。

>> 164,>> 165
「へえ、それじゃその荷物は左京の古文書っスか!なるほど……ミュージアムって、博物館の事だったんスね。」

彼らの間で交わされた言葉に、彼は確かな違和感を覚えていた。
それは黒脛の、奇妙なまでの御幣島に対する警戒。会話の内容から、御幣島がそうしたものの蒐集をしており、そのためにマークされているらしい事を言外に察した。

「まあ事情は知らないっスけど、美しいものを保全しようとするのは人間の本質的な欲求っスからねえ。僕らの動機もそれですし…」
「遺すべきものは遺す……そう思えるモノがあるって事が、人間には必要なんスよねえ。僕にとっては愛がそれっスけど」

あたかも仲間を見るような目で、彼は御幣島を見据える。先ほどまで変質者と糾弾していた人間にそのように認識されることがどのような印象を与えるかはわからないが、それでも彼は表現者として、御幣島のうちに何か似たるものを感じ取ったのだろうか。

「御幣島サンにもあるんですね?そういうモノが!」

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