日本を代表する文芸評論家であった小林秀雄は、『ゴッホの手紙』の中でゴッホと近代絵画に対する評論を展開している。
「『罪と罰』についてII」発表と前後して、小林はたまたま訪れたゴッホ展で出会った「カラスのいる麦畑」を前にして「ゴッホの巨大な目玉」に見据えられているような衝撃を受ける。以後、しばらくの期間をゴッホを中心としたフランス印象派絵画に関心を振り向けることになる。
『ゴッホの手紙』はゴッホの書簡からの引用を多用しながら、戦後の小林の孤独と苛立ちのにじむものとなっている。
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