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地磁気センサーのキャリブレーションの重要性は?そしてその意味は?

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 Precision Black Boxにしても、VLV FlightCoach Moduleにしても、ショップの方でキャリブレーションを行って出荷しているとのことでしたが、実際に使ってみると地磁気エラーが出ていました。
  https://zawazawa.jp/flightcoach/topic/65

 地磁気センサーが移動体の向きを検知するセンサーとして使えるのか? 多少調べてこのタイトルの回答になるような資料をいくつか見つけ、近年のセンサー技術の進化には素晴らしいものがあることを知りました。それらをこの投稿の返信で少しずつ紹介したいと思います。
ただし "SW Manual"
https://www.flightcoach.org/manual/
のページに以下の注釈がありましたので.JSONファイルの解析は行わないこととします。


  You may not, without Flight Coach prior written consent, conduct, cause or permit the:
    Flight Coach の事前の書面による同意がない限り、次のことを実行、引き起こし、または許可することはできません。
  ...
  (iii) reverse engineering, disassembly, or decompiling of the Licensed Software and Data;
    (iii) ライセンスされたソフトウェアおよびデータのリバース エンジニアリング、逆アセンブリ、または逆コンパイル。


私自身の知識不足、誤解などもあるかと思います。おかしいと思ったところは遠慮なくご指摘をお願いします。

Nabe_RMC
作成: 2024/04/03 (水) 18:27:38
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■3軸方位センサの有用性が直感的にわかる動画

 小学校の理科で用いた方位磁石は2次元でしたがイマドキの地磁気センサは3次元で地場を検出できます。
  https://www.akm.com/jp/ja/products/tri-axis-magnetic-sensor/what-makes-akm-different/why-use-tri-axis-magnetic-sensors/
 物理の法則や数学演算は置いておいて、以下の動画をご覧になると3軸の地磁気センサで何ができるのかがイメージできるかもしれません。

    3軸方位センサを用いたヨー回転角の算出
    https://youtu.be/1nsv_Ej9AVs?si=7awY-NofS_g5-2c4

 以下オフセット補正の大雑把な説明です。
    オフセットはセンサーの個々のバラつきや周辺地場の影響で生じます。
    例えば
    -99 ~ 0 ~ +99 の二桁の値を示すセンサーにオフセットが+50あったとします。
    そうすると出力は
    -49 ~ 0 ~ +149 となりますが、出力は二桁でしか出せませんので
    -49 ~ 0 ~ +99 となりセンサーの性能をフルに生かすことができません。
    なので+50のオフセットがあるのがわかっていれば最初から-50の補正をしておくとゼロを中心に-99~+99まで有効に使えることになります。

 YouTube動画の解説ページは以下にありました。
    3軸方位センサを用いた姿勢推定
    https://watako-lab.com/2019/02/20/3axis_cmps/

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■地磁気センサー

VLVのフライトコーチのユニット
https://zawazawa.jp/flightcoach/topic/65/3
の地磁気センサーにはBeitianのGPSモジュール BE-880に内蔵のQMC5833がが使用されています。
https://store.beitian.com/products/beitian-compass-qmc5883l-amp2-6-pix4-pixhawk-gnss-gps-glonass-dual-flight-control-gps-module-bn-880q?_pos=1&_sid=d5648d48e&_ss=r&variant=44696118100255

QMC5833のデーターシートは以下のリンク先にありました。
https://github.com/e-Gizmo/QMC5883L-GY-271-Compass-module/blob/master/QMC5883L Datasheet 1.0 .pdf

----- 精度、応答 -----
>Enables 1° To 2° Degree Compass Heading Accuracy,
1° から 2° のコンパス方位精度を実現します。

>High-Speed Interfaces for Fast Data Communications. Maximum 200Hz Data Output Rate
高速データ通信のための高速インターフェース。最大200Hzのデーター出力レート

キャリブレーションを正しく行って、上記のような地磁気センサーの性能を発揮することができれば飛行中の飛行機の姿勢を描けると思います。

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 ■地磁気
  地磁気センサーのキャリブレーションの目的は、飛行場所における磁場、機体搭載の磁気を発生する部品からの影響によるオフセットの補正のようです。であれば、同じ飛行機で同じ飛行場所なら一度設定すれば良いのでは思ったのですが、煩雑にキャリブレーションを行うのがが良いとされているようです。何故?と思ったら地磁気は同じ場所であっても刻々と変化するからのようです。

 太陽活動による地磁気変化
https://www.s-yamaga.jp/nanimono/chikyu/disturb.gif
縦軸のひとめもりが10分となっていますので、それほどの影響はないとは思うのですが。

第4章 地磁気(1)
https://www.s-yamaga.jp/nanimono/chikyu/chijiki-01.htm

地磁気の基礎知識
https://www.kakioka-jma.go.jp/knowledge/mg_bg.html
「地磁気は、地球内部の核の対流運動、太陽活動との関わりの他、地殻の活動など様々な地球環境の変動に応じて、刻々と変化を続けています。」

磁気部品の影響を見ている動画がありました。
YMFC-32 - Compass implementation| The STM32 - Arduino DIY GPS drone | Free Arduino code
3:34あたりから ↓
https://youtu.be/vPGChdmfKl0?t=214
導線の電流を流すと磁界が発生します。動力用バッテリーの上に置くと影響があるかもしれません。

機体搭載でキャリブレーションを行っている動画がありました。ワイヤレスでないとつらいですね。
Accelerometer and Compass Calibration - Arduplane With Pixhawk
https://youtu.be/1TwPvTY5JOs?si=Ege0UWg_tvKRzqao

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■偏角
地球のS極とN極は数十万年ごとに逆転してるとか、方位磁石の北が地図上の北ではないとか聞いたことがある人もいるかと思います。ArduPilotではどのように扱っているかの情報です。

・偏角とその活用
https://www.gsi.go.jp/buturisokuchi/menu01_index.html
「地球が磁石の性質をもっているおかげで、私たちは方位磁石を使って方角を知ることができます。しかし、実は方位磁石が示す北(磁北)は地図の北からずれており、しかもそのずれ(偏角)は場所や時間によって変わります。」

・Advanced Compass Setup
https://ardupilot.org/copter/docs/common-compass-setup-advanced.html#common-compass-setup-advanced
>「Earlier versions of ArduPilot did not incorporate the world magnetic model database, and a locations magnetic declination might need to manually entered, or learned through flight. This is not necessary now.
(ArduPilotの以前のバージョンは、世界の磁気モデルデータベースを組み込んでいなかったため、位置の磁気偏角を手動で入力したり、飛行中に学習する必要がありました。現在はその必要はありません。)」

・World Magnetic Model (世界磁気モデル)
https://www.ncei.noaa.gov/products/world-magnetic-model

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■磁気干渉
 先日飛行場で2回目のコンパスののキャリブレーション行ったのですが、なかなかSUCCESSの表示が出ませんでした。家へ帰って1回目の時との違いを考えてみたら、一回目はパソコンごと飛行場の端へ持ち出して3mのUSB延長コードを使ってキャリブレーション、今回は車のリアゲートを開けてパソコンは車の中、3mのUSB延長コードを使って車の後方でキャリブレーション、そのため車の影響が出たようですね。Ardupilotのサイトに磁気干渉のページがありました。

https://ardupilot.org/copter/docs/common-magnetic-interference.html
自然および人工の磁気異常に関する警告
...
2.コンパス校正のための安全な距離
...
最小 15 フィート (5 m): 電気ボックス、小型車/トラック、送電線、コンクリートと鉄骨でできた建物。