法介の『ゆゆしき世界』

虚空絵(二) 法介のほ~『法華経』その⑧ / 7

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法介 2023/10/17 (火) 09:27:24 修正

日蓮大聖人はその疑いがどれ程のものであったかを次のような話を用いて説明されます。

 観無量寿経において韋提希夫人が子息の阿闍世王に殺されようとし、しかも夫人の夫で阿闍世の父たる頻婆沙羅王が幽閉されて殺されたのは、阿闍世が提婆達多を師としたからである。阿闍世は韋提希夫人をも殺そうとしたが耆婆と月光の二人の大臣に諌められて、これを放ったが、この時に夫人は釈尊に会ってまず第一の質問に「自分の過去世になんの罪業があって、このような悪子を生んだのか。世尊はまたなんの因縁があって提婆達多のごとき悪人と従兄弟の間柄に生まれてきたのか」と、この疑いの中に「世尊はまたなんの因縁があって……」等の疑いは大なる大事である。転輪聖王は敵とともに生まれず、帝釈は鬼とともにいないといわれているが、仏は無量劫以来の大慈悲者であらせられるのになにゆえに大悪逆の達多とともにいるのか。かえって仏ではないのであろうかと疑ったのである。しかれどもその時に仏は答えなかった。されば観経を読誦する人は、法華経の提婆品に来て初めて説き明かされる因縁を聞かなければなんにもならないのである。大涅槃経に迦葉菩薩が三十六の質問を出しているが、それも涌出品におけるこの弥勒の疑いにはおよばない。

仏がこの疑いを晴らさなければ、釈迦一代の聖教はことごとく泡沫となり、一切衆生は疑いの網にかかってしまうであろう。しかるに、この疑いに正しく答えられた寿量の一品が大切なる理由はこのゆえである。

と大聖人は仰せになり、つぎの寿量品の広開近顕遠をもってより具体的にそして明確に「本因本果」が説き明かされていきます。

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