法介
259e67dbae
2023/10/17 (火) 06:21:41
そう内心で疑わざる負えなかった弥勒菩薩は、あまりの不思議さに声を出すことすらできなかったが、仏力の加護によるのであろう、つぎのように質問した。
「無量千万億の大衆のもろもろの菩薩は、昔よりいまだかつて見たことのないところである。このもろもろの大威徳・大精進の菩薩衆に対して、だれがそのために法を説いて教化して仏道を成就せしめたのか。誰にしたがって初めて発心し、いずれの仏法をか称揚して修行を積んできたのか。世尊よ、われ昔よりこのかたいまだかつてこのことを見たことがない。願わくば、その住する国土の名を説き聞かせてください。自分はつねに諸国に遊んできたが、いまだかつてこの事を見たことがない。自分はこの地涌の大衆を見てもひとりも知っているひとはない。忽然として大地より涌出せられた。願わくばその因縁を説いてください」
と。そして日蓮大聖人は天台や妙楽の言葉を紹介されます。
天台いわく「寂滅道場における最初の説法より以来、法華経の座にいたるまで十方の大菩薩が絶えず来会してその数は限りないとはいえ、自分は補処の智力をもってことごとく見、ことごとく知っている。しかれどもこの衆においてはひとりをも知らず。しかるに自分は十方に遊戯して諸仏にまのあたり奉仕し、大衆によく識知せられているのである」と。妙楽はさらにこれを釈していわく「智人は将来起こるべきことを知るが愚人は知らない。蛇の道は蛇で、蛇はみずから蛇を知っている」と、このように経文も解釈も説明するところの意味は分明である。要するに初成道より法華の会座にいたるまで、この国土においてもまた十方国土においても、これらの大菩薩を見たてまつらず、また聞いたこともないというのである。
通報 ...