「化城喩品」では、
その時、大通智勝如来は、十方の諸々の梵天王、及び十六人の王子の請いを受けて、即時に人間が前世・現世・来世において三界を流転する輪廻のようすを説明した十二因縁の教えを三通りに説かれた。
と言ってお釈迦さまは次のような前振りをして、
沙門であっても婆羅門であっても、天人や、悪魔や、梵天や、その他のいかなるものであっても、説くことの出来ないものであった。
まず四諦を示します。これが一通り目です、
すなわち、その教えとは、『これが苦である、これが苦の原因(集)である、これが苦の滅である、これが苦の滅に至る道である』という教えであった。
なぜ四諦が十二因縁かと言いますと、苦諦・集諦・滅諦・道諦の各々に三諦の真理(空・仮・中)が備わっておりますので4×3=12となります。
そして、
また、人間が前世・現世・来世において三界を流転する輪廻のようすを説明した十二因縁の教えを広く説かれた。
と申されて順観の十二因縁がまず示されます。
これが二通り目です。
過去世の無始の煩悩の根本である無明が外的原因で、過去世の煩悩によって作った善悪の行業(行)が生じる。過去世の煩悩によって作った善悪の行業が外的原因で母胎中に受胎した身体と精神との結合体(識)が生じる。
過去世の煩悩によって作った善悪の行業が原因で母胎中に受胎した身体と精神との結合体(識)が外的原因で、胎中にあって身心の発育する位(名色)が生じる。胎中にあって身心の発育する位(名色)が外的原因で、胎中にあっての眼耳鼻舌身意の六つの感官(六入)が生じる。
胎中にあっての眼耳鼻舌身意の六つの感官(六入)が外的原因で、生誕後しばらくの間の事物に関して苦楽を識別することなく、ただ事物に触れて感知しようとする位(触)が生じる。生誕後しばらくの間の事物に関して苦楽を識別することなく、ただ事物に触れて感知しようとする位(触)が外的原因で、苦をいとい楽をよろこぶような心の生起する位(受)が生じる。
苦をいとい楽をよろこぶような心の生起する位(受)が外的原因で、性欲を起こし異性を求める位(愛)が生じる。性欲を起こし異性を求める位が外的原因で、自分の求めるもののために馳求する位(取)が生じる。
自分の求めるもののために馳求する位(取)が原因で、未来の生活や環境を結果する行為によって業因を積集する位(有)が生じる。未来の生活や環境を結果する行為によって業因を積集する位(有)が原因で、前の業因によって結果した未来の生存(生)が生じる。
前の業因によって結果した未来の生存(生)が外的原因で、老・死・憂・悲・苦・悩が生じる。