岩が寄り集まって遂に山を形成してしまった。
とは言ったものの、山にはつきものな草木の緑が見当たらないからか、心の片隅に薄ら寒さが沁み入るようだ。
紅い組織は依然として岩を握るように存在し続けている。
無闇やたらに岩の体を振り回し、遠くへ投げ捨てる行動は以前と変わらないようだ。
ただし、頼りなく揺らいでいた頭に相当した器官は既になくなってしまっている。
いや、岩条の外殻が地に堅く根ざして、頭に見えた丸い球体は変形し三角形へと成ったと言うべきだろうか。
頭は依然としてそこにあって、力なく揺れる様なことが無くなったと言うべきだろう。
これは本当に安定した体勢だ。それと同時に、自身の均衡を堅固にしているようではなかろうか。
きっとそうなのだろう。あれは変化の終着点にたどり着き、進化を遂げたのだ。
そうなのだろうが、成し遂げた発展ですらあれを怠惰の鎖から解き放つことは能わなかったようだ。
微かに動くことすらなく、安住を選びそれを良しとした結果の静寂は決して勤勉と呼ぶに値しない。
あれが最終的にいかなる行動を示すとしても、それを理解することは出来やしない。
動きが絶え果てそれが静止するのならば、やがて思考も止まってしまうのだから。
そうして全てが停滞してしまえば、それはもはや生きていると言えやしない。
実に理想的とは言い難い、異常な進化と言えるだろう。
報告はイサンより。以上。
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