森康二朗(日本大学文理学部体育学科)
2021/01/22 (金) 14:48:24
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平木様
ご質問ありがとうございます。2点それぞれお答えさせていただきます。
・まず、イップスの尺度の研究動向を見たところ、各競技に限定されたイップスを評価する尺度の開発は進んでいないことが分かりました。原因としては、イップスという概念そのものが未だ浸透していないこと,イップスとみられる症状がイップスとはまた異なる名称として各競技の問題とされ,定着しているということなどがあげられました。しかし、広いスポーツ領域において、イップスに関する理解や認識が浅いあまり、精神的疾患であるイップスに対して、時に指導者による技術的な指導や、本人による不要な技術的反復練習が繰り返され、イップスが悪化していってしまう選手の存在が推察されます。そこで、どの競技のスポーツ選手でも、「自分がイップス傾向にあるのかどうか」をいち早く知ることができるイップスの評価尺度、すなわち、各競技の具体的な「イップスの症状」からではなく、イップスになりやすい人の「性格特徴やパーソナリティ」の観点からイップスを評価する尺度を開発することに意義があるのではないかと考えました。
・「強迫傾向尺度」は、回答者の強迫傾向を評価する尺度で、「侵入的思考」、「確認強迫」、「不決断」、「洗浄強迫」の4因子で構成されています。イップスと強迫は書痙の原因とされているジストニア及び心身症の観点から,十分な相関関係があり、書痙の患者に強迫的パーソナリティの者が非常に多くみられるという先行研究のデータおよび、今回開発を目指す尺度は「性格特徴」の観点から評価するものであることを踏まえ、「強迫傾向尺度」を用いて基準関連妥当性を検証しました。
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