ににんがし

【クノタカヒロ&町田尚】

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myeongsa_chori
作成: 2021/03/01 (月) 00:05:28
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148

いいんですか! 実は「やさしい残響」も悪くないなとおもっていまして。笑 こっちのほうが、サビとお互いの詩の内容にもしっくりくるなと。

なんか「記憶の潮騒」はかっこつけようとして変に肩の力がはいっている感じがあるんですよね。もうすこし考えます。

149
クノタカヒロ 2021/03/20 (土) 17:29:06

「渚に立つ」みたいな格好良いの待ってます。笑

150

すいません。「やさしい残響」でいいですか?笑

151
クノタカヒロ 2021/03/20 (土) 19:35:20

オケ!

「やさしい残響ー沖縄から遠く離れてー」だと長い?(読んでいただく方々にタイトルで沖縄の詩なのかなと分かってもらえるように)

152

オッケーです!!

153

僕は推敲終わりました!

154

クノさん取り込み中で連絡取れず、最終稿の確認取れていませんが、締め切り近づいてきましたのであげたいと思います。

161

詩が長すぎるため、連投となります……

162

ここから下が作品です。

155

 やさしい残響ー沖縄から遠くはなれてー

         クノタカヒロ・町田尚

二月なのにぬるい
たしか糸のような雨がふっていた
風にゆれるガジュマルの下
那覇の町並みを見る
白くけぶる町の家根
空気が甘い
やさしさに打たれている
どこにいても落ち着かない気持ちが消えていた
沖縄にきてから消えていた
                              (町田)
二月なのにぬるい
からだの磁針が曲がってしまった
バオバブを宝の樹と呼ぶのなら
知花の楽園は宝の森か
雨と風と堆肥のにおいを抜けて
焼きたての肉にかぶりつく
沖縄で一等と
カズマ(にいに)が教えてくれた
檸檬とバタアと大蒜がのった
うるまの牛肉にかぶりつく
                (クノ)
肉の血と大地の血は熱い
発火しそうな息が充満する車内
まだ夜までは遠い
そしてまた雨がふっている
濡れた光でひたひたになる車道
汗ばんでみなぎる街路樹
厚ぼったい葉が弾く
ゆらゆらと窓ガラスを這う
沖縄の雨に打たれながらむかうコザ
音楽と夜の町コザ
                               (町田)

借り切りのエクリプスクロスで
県道330号線を駆けていく
かつて軍道24号線と呼ばれた
暴風が吹き荒れた走路を
鋼鉄の車でホテルコザを目掛けて
ライブハウスとエイサーの街
この街に愛される日は来るのだろうか
tacosに多幸寿と漢字を当てた
チャーリーさんみたいに
この街と結ばれる日は来るのだろうか
                (クノ)
        1/6

156

遠い二月だった
遠い十二月だった
遠い三月だった
遠い十二月だった
あの島とはずっと、前からきっと
月桃の糸で、つながっていた
首ちり友(くびちりどぅし)
行逢りば兄弟 (いちゃりばちょーでー)

         2/6

157

十二月なのにあつい
安座間からのフェリーに乗って
神の島へと辿り着く
人が巫女となるために
夕神遊びを舞ったとされる
御殿庭(うどんみや)を探してぐうるぐうると
銀輪にまたがり島内を巡る
地図にはあるが地上にはない
彼岸にはあるが此岸にはない
ここはいつしかニライカナイか、と
どこかでわたしの声が聴こえた    (クノ)

十二月なのにあつい
神の島に吹く風は厚い
ベンチでひとり酒を飲む男の肌はもう焼けて、空き缶を転がしながら遠くを見ている、
視線を思いだしながら浜辺に立つ
ここは寂しい場所だと思わずにはいられない
ここにきたことを偶然とは思いたくない
くりかえす波の音をきく
ゆっくりと舞う白い砂
光のとける水
揺れるガラス
ニライカナイ
あるかないかは風だけがたよりだと  (町田)

風だけを頼りに
海中道路を走っていく
なんだか愉しくなって
青い歯で
スマホとカーオーディオを
噛み合わせたら
聴こえてきたのは
うないぐみの『弥勒世果報』

波ぬ想い 太陽とぅ風ぬ想い
戦世ぬ 哀り知らさ 哀り知らさ

いつの間にか龍神風道
総毛立つ聖なる風の通り道
遠くに見えるのは久高島だろうか
いつの間にか果報バンタ
崖に立てば眼下の海が青一色     (クノ)

果報バンタ
何度目だろう
感傷の鰓がふるえてくる
吹き上げてくる風に泡立つブルー(旅情)
万座毛が波飛沫をあげながら肩に風をのせて歩いてくる
沖縄の風は不思議に熱い息
水銀温度計も波打っている
目をとじて手をかざすと
漂流の記憶が熱を帯びて近づいてくる (町田)

        3/6

158

遠い二月だった
遠い十二月だった
遠い三月だった
遠い十二月だった
あの島とはずっと、前からきっと
月桃の糸で、つながっていた
首ちり友(くびちりどぅし)
行逢りば兄弟 (いちゃりばちょーでー)

        4/6

159

三月も十二月もコザだった
生温かい夜だった
アルコールで変に目が冴える
雨が降ってきても傘をささず歩く
さっきまで歩いていた男たちも蒸発して
ひとり街角をこする
目眩がして街を去り友と落ち合う
コザの夜はまだ終わらない
名も知らぬ泡盛で高い波がくる
名も知らぬ女と電力にのって踊る
夜の汀で、
夜の潮騒の果てに誰かとまた落ち合う
                 (町田)
三月の終わりは名護だった
憩いの駅で緑のハブを首に巻きつけて
皮の栞を財布に仕舞い込む
陽の光を避けるように
迷い込んだのは乾杯の歌酒場
フクシマ訛りのないちゃーと
青い瞳のうちなんちゅ
時の最果てにも似た交叉点で
わたしとあなたのデュエットが始まる
「時間の迷い子が行き着くところ」さながらに
大人と大人の杯が交わされる
                                        (クノ)
石垣島は分からない
ただ通り過ぎたとしか言いようがない
半端な下心で指を切る情けなさ
自分はどこまでも訪問者で
踏み外せば腐れないちゃー
由布島へわたる水牛の背中で
せいぜいゆれるぐらいがいいのか
ここでも雨は降って温かい
水の牛歩がたてる波音をきく
海をわたることをまだ知らないでいる
                                        (町田)
十二月が蕩けていく
察度王(さっとおう)は天女の子息であると
羽衣の伝説が残る宜野湾で
鮮やかで木目細やかな
奥間大親(おくまうふや)のようなおもてなし
さすがは「ねたての都」と
いつかお礼がしたくて
紙切れに識別子を書きつけた
天高く舞い上がっても
あなたがわたしを探せるように
メキシコで、桜坂で、珊瑚の海で
あなたとわたしが出逢えますように
                                        (クノ)
        5/6

160

遠い二月だった
遠い十二月だった
遠い三月だった
遠い十二月だった
あの島とはずっと、前からきっと
月桃の糸で、つながっていた
首ちり友(くびちりどぅし)
行逢りば兄弟 (いちゃりばちょーでー)

空港が、駅が、ひどく寒い
寂寂たるこの道は
帰路だろうか往路だろうか
白夜のなか想い出したのは
降ってる雪を見たことがないと
ささめく島人の笑い声
しんしんしんと雪が降っている
ここは味噌と金鯱の都
旅のかけらを集めながら
正しい やさしいを忘れなければ
またあの島に還れるだろう
                                        (クノ)
小さな車にひとり
乗る車に忘れていたエンジン音
いったい誰と会ったというのだろう
ただひとりの友と会うために?
ひとりになると不安になる
日常にもどることへの喪失感?
同じアスファルトの車道で風の音をきく
曇った窓ガラスからゆれる
遠く青い月を何度もみる
糸のような雨が降ったり止んだりの生温かい日には
今日は沖縄のような天気だと思う
                                        (町田)
        6/6

163

=======================================この上までが作品です。

166

お疲れ様でした。
最初から最後まで温度が伝わってくる詩だとおもいました。
リレーの過程で作品について多くを言わなくても、作"風"の共有がされているのも素敵でした。

167

しきさん、感想ありがとうございます。

相手の詩の内容を自分の詩に反映させるかどうかの取り決めはありませんでしたが、連詩をやるとなるとやっぱり言葉を引き継いだり、相手が触れた事柄についてさらに発展させたりしたくなっちゃいましたね。またお互いに沖縄への熱い思いもあり「自分の詩」を書いているつもりでもひとつの火を消さないようにするための何かを繋ぎ合っているような感覚があったのかもしれません。

168

あれですね、しきさんから作風について聞かれて気づきましたが「沖縄」が大テーマで「あわい」が小テーマになっているように感じられなくもないな……笑

169
はったみさと 2021/03/22 (月) 22:32:08

おつかれさまでした。
完成作品を読んで、「ふたりでうたい繋ぐ歌みたいだ」とおもっていたら
製作過程で歌がクローズアップされていたのですね。
アルバムをめくってチェキの写真を眺めているような、
刹那的だけど色の濃い情景が浮かんできます。

171

はったみさとさん、感想ありがとうございます。

歌についてはクノさんによる多声的な詩にする案に乗ることにしました。元々テーマが決められていることもありましたが、それでもまだどのような詩をかけばいいのか漠然としているなか、とりあえずなにかを書くための助け船のような役目にもなったと思います。案どおりに自分たち以外の声を取り込むのも面白かったです。

情景については実際に経験したことに対して、また思い返すうえでさらに浮かび上がる何かをのせることができ、詩はあらためて面白いなとおもいました。

170

やりとりと作品を読ませていただきました。

沖縄の訛りが作品の体温になっている作品だと思いました。また、細かい表現だと「神の島に吹く風は厚い」という箇所が秀逸だと思います。

沖縄に行った経験がなく、出てくる単語に知らないものもあるのですが、そこのわからなさも含めてイメージがひしひしと伝わってきました。

172

故永しほるさん、感想ありがとうございます。

秀逸だと言っていただきありがとうございます。「厚い」という言葉は妙な魅力をもっていると思ってまして、使うチャンスがあればどんどん思い切ってつかっていきたいと思っています笑

イメージが伝わっているというのは嬉しいかぎりです。沖縄でみた景色は本当にすばらしいものばかりでしたから。

173

お疲れさまでした。

沖縄の旅行パンフレットには絶対描かれない湿度が、自分が行ったとしても感じえない、お二人の肌にしがみついた旅の重さが、とても心揺さぶる詩ですね。
「感傷の鰓がふるえてくる」、やばいです(最高です)。

86の取り決めのくだり、勉強になります。
3/3頃の怒涛のやりとり、凄いです。

174

山口斯さん、お疲れ様です。そして感想ありがとうございます。

事前にいくらパンフレットやネットの情報にふれていても、いってみなくちゃ分からないsomethingがありますのでやっぱり旅はいいですね。

感傷の鰓という表現については悩んだのですが、短期間決戦ということで思い切って採用しました。自分でも良かったのか悪かったのか分かりませんが、そう言って頂き嬉しいです。ありがとうございます。

175

お二人ともお疲れ様でした。
とてもとても長い詩で読み応えがありました。
ロードムービーを観てるような感覚。
時折、レンジファインダーのカメラを構えて
気に入った景色を切取って。
写真を見ているというよりも
現像前のフィルムの日付を見て
多分、コレにはあんな風景が、
で、あんな事あったよなぁ、と。
けれども、一人じゃないですよね。
二人違う視点でその時々の感情に乗せて
シャッターを切ってる。
その時間の曖昧さなのかな、と。
そして、フィルムの色褪せた淡い
を感じました。

176
クノタカヒロ 2021/03/30 (火) 20:17:08

ユタカBさん

ご感想ありがとうございます!「ロードムービー」からのご感想/文章も作品の最後に組み込ませていただきたいくらいです。好み!

177
クノタカヒロ 2021/03/30 (火) 20:24:13

町田さん

最後に以下の数点、修正願いますm(_ _)m

①3ページ

殿を探して→御殿庭(ルビ:うどんみや)を探して

②5ページ
「時間の迷い子が、行き着くところ」→ 「時間の迷い子が行き着くところ」

③5ページ

察度王→ 察度王(ルビ:さっとおう)
奥間大親→奥間大親(ルビ:おくまうふや)

178

修正完了しました。

179
クノタカヒロ 2021/03/30 (火) 22:58:17

ありがとうございます!