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合法トリップガイド / 7

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420 Chill Out 2020/05/20 (水) 22:12:40 修正 87989@e77a2

面白いと言ってくれる人がいるので、今度はなんの摂取も伴わないトリップ体験についてレポートしていく。


【名称】馬連10万円トリップ

【強度】4
湧き上がる興奮と万能感が抑えられない。
思わず立ち上がってフラフラと歩き出してしまうような強烈なトリップである。

【持続性】3
まず10万円を獲得したその瞬間に強烈な興奮が湧き上がる。
その後、数十分ほどは万能感を感じ続ける状態が持続する。

【入手性】2~3
このトリップは競馬というギャンブルによってもたらされるものなので、まずギャンブルに勝つ必要がある。
その点で予算と準備が必要であり、10万円程度の配当を得るには負けるレースも含めて数万円単位での投機が必要である。
なお、当然ながら不確定要素があり、入手の再現性は低い。

【難易度】3~4
競馬というものは(特に中央競馬は)毎週土日に開催されており、ここで開催されるレースに出走する馬はその週の木曜夕方に発表される。
つまり木曜夕方以降、予想という形で準備を行う必要がある。
ただし10万円単位の配当を得た場合、多くの人間は興奮状態に陥ると思われるので、当たりさえすればトリップは容易である。

【リスク】4
昨今社会問題化しているギャンブル依存症に陥る危険性がある。

【レポート】
上でも書いたとおり、このトリップは競馬で10万円勝つことで体験可能なものである。
また、特にこの10万円という数字については、累計の勝ち分という意味ではなく、
1レース、1回のベットに対する勝ち分として10万円という配当を手にするという点が重要である。
なお、当然ながら勝ち分は多ければ多いほどトリップの強度と持続性を高めるものと考えられる。
今回のトリップは今年の4月19日に開催された皐月賞において体験したものだ。
競馬をしない人のために説明すると、皐月賞というのは毎年4月の第3日曜日に開催されるレースで、馬齢が3歳の競走馬のみ出走するレースである。
筆者はこのレースにおいて馬連という券種(1着と2着でゴールする馬を順不同で当てる)で、更に1点のみに対し2万円ベットした。
競馬で馬券を購入する場合、大抵の馬券購入者は複数の券種に対して複数点ベットする。
例えば、先にあげた馬連という券種とは別にワイドという券種(1,2,3着でゴールする馬の内2頭を順不同で当てる)にベットするなどしてベットの対象を分散させる。
あるいは券種は馬連のみであったとしても、1番~18番の番号が割り振られた馬に対して馬連1-2と1-3の2点に投票するなど、これらの”分散投資”は言うなれば馬券購入におけるセオリーである。
しかし、筆者はあえて今回そのセオリーを採らなかった。なぜならば、このレースの予想に対して絶対の自信を持っていたからである。
ちなみに、馬券購入者というのは同じ場に集まると各々がなにを買ったのか報告し合う習性がある。筆者も同様にこのセオリー無視の1点勝負を競馬仲間に報告した。
するとどういうことが起こるだろうか。「当たるといいね」などという生易しい言葉がかけられることはまず無い。
「なんで?」「嘘でしょ」「バカじゃん」という反応。自分の予想が支持されないのだ。つまりアウェーだった。
レースが始まる瞬間まで本当にこれでいいのだろうかという問いが生じ続ける。
ここでセオリーを無視するのであれば今まで自分がやってきたことはなんだったのだろうかという疑問。仲間に支持されないことによる不安も積み重ねられていく。
ではここから、具体的にレースに勝った瞬間、トリップのその瞬間についてレポートする。
まず、レースはどんなに長くとも3分ほどで終わる。ゲートが開いて、馬が飛び出してから3分である。
その3分間で、特に今回の場合は「全てが思い通りに回っている」という万能感が生じた。出走している全ての馬が、自分が事前に予想した通りに走っていたからだ。
馬が1完歩ずつストライドする度に、レース前に感じていた疑問が着実に確信に変わっていく。「お前は正しい」と天から言われているような感覚が湧き上がってくる。
ゲートから1コーナーまでの間、4コーナーを回って最後の直線に至るまで、万能感で満たされ続ける。
レースは予想通りの着順となった。走り疲れた馬が首を上下させながら強く息を吐いている。
体内で何かが暴れ出すような興奮が湧き上がり、しびれのようなものが体の先を這い回る。そして、それらがまた体内に収束し脳天を貫く。
それから、13万2000円という額を噛みしめる。多幸感に溢れる脳内で13万2000円分のありとあらゆる娯楽がスライドショーのように映し出される......。
以上がトリップの瞬間のレポートである。
なおこのトリップのあとはレース中にあった万能感が余韻として数十分程度残り、無性に金を使いたくなるので注意が必要である。

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