私の友人に現役の精神科医として活躍する過失川ひろゆきという方がいる。
以前、某テレビ局の記者が、精神医療の仕組みに詳しい過失川先生にインタビューしたことにより、精神医療の全貌が明らかにされた。以下の記事は記者と過失川先生の会話である。
記者「まず始めに伺いたいのですが、なぜ過失川先生は精神科医の道を志されたのですか?」
過失川医師「楽だからです。」
記者「具体的に説明していただけますか?」
過失川医師「昨今、3分診療で荒稼ぎしている精神科クリニックが街のあちこちに粗製乱造されていることはご存知でしょう?精神科医の私が言うのも憚りますが、医学的観点に鑑みて、あのような診療は医師の仕事とは言い難いです。はっきり言って、馬鹿でも出来る単純作業ですので、医師免許を所持していない素人が行っても問題がないとすら思います。」
記者「過失川先生は、患者1人あたりの診察に何分かけているのですか?」
過失川医師「3分です。」
記者「先ほど、楽だと仰いましたが、どのくらい楽でしょうか?私たち素人にも分かるように教えていただけますか?」
過失川医師「多くの精神科クリニックでは、薬物療法一辺倒の治療が行われています。薬物療法一辺倒の治療をしている医師の仕事は、コンビニのアルバイトの仕事よりも楽だし簡単です。」
記者「もう少し掘り下げて説明していただけますか?」
過失川医師「先ほど申し上げたとおり、私が患者1人あたりにかける診察時間は、標準的な精神科医と同じく3分です。診察室に入ってきた患者が私に悩み事を打ち明けてきますので、話半分に聞き流して、診察室のパソコンの画面を見つめたまま患者と視線を合わせることもなく、テキトーに処方箋を書きます。待合室には、診察の予約をしている患者がたくさん待機しているので、3分診療でベルトコンベアーの作業のように次々と患者をさばいていきます。ただ、それだけの単純作業なので医学部で学んだ医学知識はほとんど必要ないのです。」
記者「過失川先生は、患者さんの診療をしている時にどのようなことを考えていますか?」
過失川医師「短時間で多くの患者をさばいて儲ける方法を考えています。」
記者「先ほど薬物療法のことをお話しされていましたが、鬱病患者が来院した場合、過失川先生はどのような治療をされているのですか?」
過失川医師「薬物療法一辺倒です。」
記者「薬物療法一辺倒で鬱病は治りますか?」
過失川医師「治りません。」
記者「え?治らないんですか?」
過失川医師「はい、治りません。」
記者「では、鬱病を治すためには、どのような治療が必要でしょうか?」
過失川医師「まず、鬱病患者は生活習慣が乱れていることが多いので、生活習慣の乱れを正すための指導を行わなくてはなりません。たとえば、太陽の光を浴びながらジョギングする等して、薬物療法に頼らずにセロトニンの分泌を促進する運動療法が必要です。また、鬱病患者は、きちんとした栄養を摂取をしていないことが多く、それが鬱病の緩解を妨げる一因になっていることも珍しくありません。だから、栄養療法の指導も必要だと思います。そして言わずもがな、鬱病の治療には心理療法が必要な場合が多いです。個人の各種の悩みや心理的問題について相談に応じ、解決のための援助、助言をする臨床心理士等の専門家にみてもらうべきでしょう。つまり、鬱病を治すには、薬物療法、運動療法、栄養療法、心理療法の4つが必要不可欠になります。
記者「過失川先生は、薬物療法以外の3つの療法(運動療法、栄養療法、心理療法)を行わないのですか?
過失川医師「はい。」
記者「なぜ、3つの療法を行わないのですか?」
過失川医師「これらの3つの療法は、厚生労働省が決めた診療報酬点数表に定められていない診療行為であり、患者が全額自己負担する保険外診療として扱われています。鬱病患者の多くは、貧乏なので保険外診療に興味を示しません。それに、もし、保険外診療としてこれらの療法を行っても、時間を食う割りには儲かりません。私は、儲からない仕事が嫌いなので、薬物療法一辺倒で食っているわけです。
記者「最後に1つ質問をさせていただきます。最近、鬱病患者は頑張り過ぎだから、頑張らなくてもいい。などという風潮があります。過失川先生はこの風潮についてどのようにお考えでしょうか?」
過失川医師「常識的に考えてください。頑張らずに治るわけないでしょう。医師に言われるがままに薬だけ飲んで自助努力を怠っている甘えん坊は、いつまで経っても治りませんよ。鬱病を本気で治したい人は、頑張りなさい。」
記者「お忙しいところどうもありがとうございました。」