判定番外編シリーズ『交渉成立』
ある日、一人の男が香港から麻薬取引のためピグパファミリーという組織にやってきた。
ピグパファミリーとは、コーサ・ノストラの傘下としてイタリアを中心に勢力の拡大を続けているシチリアマフィアだ。
「1000万で手を打とう」
名前の読み方が独特なピグパファミリーのボスが指定した金額は明らかに相場より高く、交渉では完全に足元を見られていたかに思えたが、男は二つ返事で条件を呑んだ。
後日、男は予定通り指定の場所にアタッシュケースを持ってきた。
「ここに1000万ある。交渉成立だな」
「待て。まだ中身を見せてもらってない。開けて見せろ」
男は当然のように要求に応じ、アタッシュケースの中身を見せた。
そこには確かに1000万の現金が敷き詰められていた。
「もういいだろ?」
足早に取引を終わらせようとする男。
「まだだ。偽札の可能性があるよな?」
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