尾名畦/E・シュレーディンガー
2020/04/27 (月) 23:24:54
>> 146
知識の牙城である大学だが、彼らは普遍的な知を探求する組織であり、彼もまたその例に漏れない。
基本的には「都市に潜む闇」のような問題には不干渉であり、興味を持たない者が殆どだ。それ故に「知り得ないものは知らない」。
外部から提供された旧梅田地下街の地図などはアーカイブとして存在するが、組織として法を犯す場所では基本的にない。それ故に彼は、彼女が機密の管理者である事、その迷宮が機密の場所である事実の双方を知り得なかったのである。
「戦争では見栄えは悪いだろうがね。今後ともよろしく」
>> 147
『死に際の思いだと?とんだマッドサイエンティストだな』
「…何やら、とんでもない話に片足を突っ込んでしまった様だね」
少女の口から語られた事情は、通常の人生を歩んできたと言える彼らにとっては常軌を逸した会話に聞こえるものだった。
『どうする。協力するのか?』
「もちろん。恩人だからね。…って、ここはもう駅前か」
「まあ、案内はさせてもらうよ。ゆっくり話そうじゃないか。死については、僕も平素から考えている命題だ」
着いてきてくれと言う具合に、彼は歩き出す。
「死と言うのは、肉体が滅んだ時には限らないさ。本当の死は…それが、忘れられた時に訪れるものだからね」
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