>> 145
「あららサーヴァントかぁー。ごめんなさいねぇお姉ちゃん勘違いしちゃって、飴ちゃんあげるわね?」
謝罪をしながら名残惜しそうに手を放してシュレディンガーを開放するエメリア。
尾名の自己紹介を聞いて、彼女自身も己の名を告げる。
「私はエメリア、エメリア・フィーネ・グランツェール。イギリスから日本までやってきました!
こっちのでっかいのはその通り、ビーシュマ。良いサーヴァントかー、私もそう思ってる!」
薄い胸を張りながら、尾名の言葉にどこか誇らしげに彼女は言った。
「駅かー、確かに人が集まる場所って言ったらこれ以上は無いわよね。
"あいつら"もそういう所にいそうだし、うん。案内してもらおうっかな」
>> 146
「んー、まぁいっか。周囲にいたらいたでその時だし」
「お前なぁ……。いつもそうやって行き当たりばったりで痛い目を見るだろうに」
まぁまぁ、と眉をしかめるビーシュマを宥めながら少女は説明を開始する。
「お姉さんね、こう見えて長生きしてる身なんだけど、昔は色んな場所行ってたの。
人が死ぬとき、どんな思いで死ぬのかって集める命題だったから、そのためにね。
……その時、たった1人だけ逃した、すっごいやばい奴がいて、そいつが今徒党を組んでるって言うの」
少し寂しそうに、少女は空を見ながら話す。その胸に秘めるは、
その歩みの中で死んでいった人々への追悼か、あるいはその"奴"を逃がした事への、自責の念か。
「凶悪犯罪を起こしてるらしいから、こりゃ逃がした私の責任!? って思ってね。
だから私が直接ふんじばってやろうって話し! 人死になんてもう滅多に起こらなくなったから、
命題も守らなくていいしね! 代わりに魔術師は廃業したけど! 後悔してないよ!」
からからと、あっけらかんとした態度で笑いながら少女は続けた。
「だって、もう後悔しながら死んでいく人は、いないって事だからね」
/ごめん時間的に次がラストかも