尾名畦/E・シュレーディンガー
2020/04/27 (月) 22:24:58
>> 141
「すまないね…滅多に起こらないんだが…」
「通天閣の屋上だの、謎の迷宮だのによく迷い込むんだ。今回はまだましな方さ。怪我がなくてよかった」
眼鏡を直しながら、気さくな様子の女性に弁明する。
『コイツの難解な説明で理解するか。さてはもう知っているのか?』
「何度もTVに映されているじゃないか。今更だよ」
『私は目立つのが嫌いなんだ。反対したぞ』
「良いじゃないか…おっと、悪いね」
彼はサーヴァントと思しき男の腕から離れ、茶色のコートから埃を払って立ち上がった。
>> 142
『やめろ、撫でるな。私は人間だ…』
そうは言いつつも心地よさから体を預けるシュレーディンガーを尻目に、改めて、自らを間一髪で救い出した恩人に向き直る。
「私は
じっと、眼前の巨大なサーヴァントを見据える。
筋骨隆々で天を衝くような肉体、おそらくは神代の英霊に属するだろう。
顔付きや鼻だち、服装などをまじまじと眺めると、彼は改めて男の顔を見た。
「『マハーバーラタ』の英霊かな。それもかなり強者の戦士のようだ。」
「なるほど、ビーシュマか。それなら納得だ。良いサーヴァントに巡り会えたものだね、キミ」
どこか貫禄を見いだせる少女を見て言う。自己紹介によって判明する形となったが、外見の情報のみでかなり近いところまでは迫ったのではないだろうか。
これは彼の独自の力だった。知識からある程度の真名推察を行う技能。芸としては、彼が自信を持っている方の分野であった。
「助けてもらったお礼だ、それぐらいならお安い御用さ。もっとも僕はこの辺の土地勘がなくてね…駅のあたりぐらいしか、ピンとこないな。悪いね」
通報 ...