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風。せめて頭だけは守らなければ、と咄嗟に構えた腕にも、また体にも、何の負担もかからない。
ゆっくりと構えを解いて見やれば、見知らぬ女と大男。そして大男に抱えられた梅田軍の男……と、抱えられたネコ。
「……助かったァーッ!」
どうやら、そういうことらしい。いくら“聖杯”が命を守るとは言っても、痛いものは痛いし、死ぬ時は死ぬ。ひとまず、そういうことはなくなったようであった。
梅田軍の男……ああそうだ、確か尾名畦とか言ったか。彼はそういえば、サーヴァントであるネコの力を借りてワープができるのだとか。謝罪の言葉を聞く限り、ワープ中の事故ということか。
「まあ、あたしは別に無事やったし、構へんよ。次は気ィつけよ」
「……んで、そっちの……アンタら、でっかいのとちっちゃいの。助けてくれた……んやな。取り敢えず、おおきにな」
平生の顔見知り故、ややぶっきらぼうではあったが、彼女もまた、自らを助けてくれたと思わしき二人に対し、謝辞を述べる。相手がヨソモンだろうが、小さい子供を前に眉根を寄せるほど狭量ではないのだ。
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