尾名畦/E・シュレーディンガー
2020/04/27 (月) 21:22:40
>> 138
「(マズい、人か…!)」
5m地点から地上に落下するまで概ね1秒。ちょうど真下に地上を歩く人が存在する事を確認するのはそう難しい事ではない。
それを避けるとなれば話は別だ。
『(因果系統樹上に回避ルートが無い…!避けられないか…)』
彼等自身の行動によってはもはや、地上の不運な女性の頭上への落下は防ぎようもないことを察知した彼等は、せめてその身をよじる事程度しか出来なかった。…だが。
>> 139
「!?」
晴天の霹靂のごとくに、彼らの肉体ごと攫っていく”何か”を、感覚として感じた。
ふわりとした、一種心臓に悪い浮遊感が襲うと共に、何の負傷もなく確固とした”地面”を感じた彼ら。
次に確認したのは、彼らを抱えていると思われる、あまりに浮世離れした強面の男だった。
『……やれやれ。助かったようだな……』
「……そのようだ。」
数秒かけて現状を理解すると、彼は地上の女性と、彼らを救った男たちの両方に声をかける。
「すまない。お騒がせしたね……。たまに起こる”事故”だよ。量子状態で移動していると外界の確認が疎かになってね……」
『私からも謝罪しよう。ともあれ助かった…』
人語を発する猫とともに謝罪する。しかし彼らはらこれでこの場が収まるとは思えない予感を感じてもいた。
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