ある冬の日。授業を終えたシータは傘を差しながら帰路についていた。
シータ「ちっ…」
友達「おぉシータ!もう帰るの?」
シータ「あ、うん!今日はもう授業ないから…」
友達「サークルは?」
シータ「今日は…いいや」
友達「そっか。あ、じゃあ俺先輩に呼ばれてるから!気を付けてな!」
シータ「うん、ありがとう!」
シータ「ちっ…」
別れ際に、気付かれないように舌打ちする。
人望があり、顔も良い。勉強も出来て、俺みたいに単位で困ったりしてない。そんな奴の目には、俺はどう映ってるんだろう。
無理して声掛けんじゃねえよ…
どうせ見下してんだろ?クソが…
支援age
帰りの電車。雨のせいか今日は乗客が多く、座席は全て埋まっていた。
シータ「立ちか…」
シータは優先席のすぐ前に立った。
すると優先席に座る若者が、大きな声で通話をしている。その前…つまりシータの横には、杖をついたおじいさんが立っている。
若者「ってかさぁーショーヘイまじうぜぇ!!うざくね!!?シバこうぜ!?あいつシバこうぜ!?」
うるさい…
乗客の視線が若者に向けられる。そしてしばらくすると、シータに視線が集まっていった。
シータはすぐに勘付いた。
お前が近くに立ってるんだから注意しろ。乗客の視線を集まっている理由はまさにそれだった。
クソが…
シータ「あ、あの。車内で電話すると周りの方に迷惑なので、一旦切ってもらえませんか?」
若者「あぁん!?」
予想通りの反応。人間止めろよマジで…
若者「っだってんだてめぇザコこらえぇぇ!?ッバくぞオラァ!!」
シータ「いや…」
若者は立ち上がり、シータの胸ぐらを掴む。殴られると思ったその瞬間だった。
ドリー「やめるんだ」
若者「あ?誰だてめぇ!」
ドリー「この子の言う通りだよ。通話を切るんだ」
若者「っだこらカスがよぉ!!」
若者がドリーに殴りかかる。しかしドリーは避けるでもなく、その一撃を顔で受け止めた
若者「決まったぜおらぁ…」
ドリー「お前のパンチなんて…マッチョなミッキーの足元にも及ばないよ」
若者「は?強がってんじゃねえよオラァ!」
ドリー「ふんっ!」
気付くと、若者はドリーに投げられていた。
何が起きたのか、シータは目の前の出来事に頭がついていかない。
若者「っだこらぁ!!降りたるわワレェ!!」
逃げるように電車を降りていった若者。こいつ何者だよ…あとマッチョなミッキーって何だよ…
おもしろくないなsageで
ドリー「キミ、勇気あるなぁ!よく言ってくれたね!ありがとう!」
乗客から拍手が沸き起こる。
シータ「いえ、助けていただいたおかげで…」
ドリー「もし俺がロニーコールマンだったらあの若者の命はなかったね!」
シータ「は?」
ドリー「あとマッチョなミッキーのパンチは山を砕くくらいあるからwww」
シータ「何言ってんの?つまんね」
つまらない。意味がわからない。率直にそう感じたシータは、何のためらいもなくその言葉を口にしてしまっていた。
シータ「あ…いや…」
ドリー「ハハッ!キミ正直だなぁ!!面白いとこ連れてってあげるよ!!」
シータ「は?いやちょっと…おい!!」
シータはドリーに力ずくで電車から降ろされ、連れていかれてしまった。
シータ「面白いとこって…。ただのラウワンじゃねえか…」
ドリー「マッチョなラプンツェルはwww」
シータ「だからつまんねぇよ。なんで生きてんの?てかマジで俺帰るから…」
ドリー「シータ君、ボーリングで勝負しよう!1ゲーム!」
シータ「は?そんなことして俺にメリットあるの?」
ドリー「そうだなぁ。じゃあ、俺が負けたらこの通帳の中身全部あげるよ!でも負けたら、俺のお願い一つ聞いてほしいんだ!」
シータ「…100万!?いやいや…でもどうせ上手いからこんな賭け持ちかけるんだろ?」
ドリー「じゃあハンデだ!シータ君は、スコアに100点上乗せしていいよ!」
シータ「100点!?」
シータは考えた。自分はもしかしたら、初心者だと思われているのかもしれない。だとしたらそこに付け入る隙がある…と。
シータ「いいよ。勝ったらちょうだいね、それ。」
ドリー「決まりだね!じゃあ先に説明しておくけど…ぜっったいにファールラインは越えないでね!あとボール投げ上げるのもダメだよ!」
シータ「いや少しくらいいいだr…」
ドリー「は?」
シータ「いや…」
ドリー「ダメだよ」
シータ「だってプロじゃないんだから…」
ドリー「ダメだっつってんだろうが!!」
シータ「!!わ、わかったよ…」
全然面白くないな…オチに期待
シータの完敗だった。
シータのスコアは140点。一般人だとまあまあ高いスコアだ。更に100点足すと、240点。普通なら勝つと思うだろう。
シータ「260とかさぁ…マジ何なんだよこいつ…」
ドリー「今日は調子が良かったから勝てたよ!でもマッチョなエルサならwww」
シータ「ああぁうっせぇよ!!…で、お願いって何?」
ドリー「そうだなぁ。じゃあ、今度釣りへ行こう!」
シータ「は?いや釣りとかしたことないし他の人と行った方が…」
ドリー「ラインを交換しよう!!」
シータ「おい、ちょっ…」
力ずくで携帯を奪われ、友人登録を完了した。
ドリー「じゃあまたね!今日は楽しかったよ!」
ドリーは手を振るなり、マッチョなミニーだのロニーコールマンだのブツブツ言いながら去って行った。
シータ「っざけんなよ…」
次の日。シータは1限目を終え、2限目の教室でテキストを読んでいた。
友達「おう!隣いい?」
シータ「あ、うん!いいよ。」
友達「シータ…もしよければ、これ。」
シータ「え?」
友達「英語の単位落としてただろ?だから…みんなで要点まとめといたから、これで次に備えてよ。」
シータ「あ…」
友達「プログラミングサークルのみんなも心配してたよ?俺たちにできることがあったら何でも言ってくれよ!力になるからさ。」
シータ「あ…あ…」
友達「シータ?」
シータ「いらないから…こんなのいらないから!!」
友達「おい、どこ行くんだよ!!シータ!!」
良スレage
シータ「はぁ…」
シータは大学の近くの公園にいた。
講義をサボるのはこれで2回目だ。
クソ…やっぱりあいつら見下してやがるんだ…
大学なんてやめちゃおうか。でもやめてどうするんだ?わからない…
すると、シータの携帯に一通のラインが届いた。
ドリー「今から釣り行こう!」
シータ「はぁ…当日に言ってくるなよ…」