某のかたつむり

「上手くやることの呪い」について話してくれた人がいた。
自転車を押しながら夜の坂道を下っているときで、「うまくやることののろい」とその人の発音を繰り返した。
覚えているのはそれだけで、どんな話を聞いたのか。ぽっかり抜けているのが呪(まじな)いっぽい。
　
この４月は気晴らしに近所を散歩している。
知ってる景色しかないけど、タンポポが咲いたり飛んだりくらいの変化が楽しい。
でも、人より歩くのが速かったり、道を選べなくて戸惑ったりする自分に落ち込む。
散歩も満足に出来ないのかって思う。
これが「上手くやることの呪い」によるものなら自分には呪いをかける才能がある。歩くだけで自分を呪える。
　
そういえば最近、呪いを解く天才が現れた。
自己嫌悪しやすい質がバレていて「やりますね！」「いいっすね！」と、努めた物言いに励まされている。
天才にかかれば些細な呪いはすぐに解かれる。
　
「なんだってできますよ！」というのも天才の言葉。
その気になればランチになんでも食べられる、くらいのことだけど。
なんだってできるし、どこへだって行けると思うと気が晴れる。体はここにあるけど。イメージの話。
　
　
これって日記なんでしょうか。
日記ってなんでしょうか。
【日時や天気やその日やったこと以外、日記に何を書きますか？】