某のかたつむり

菓子で人は殺せるか

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大笑いしたこと。
最近ではなく、7年ほど前の話になりますが、一つ。
これを話すと大概の人に「ネタでしょ?」と怪訝な顔をされるのですが、本当にあった出来事です……

*

学生の頃。
退勤ピークの過ぎた下り電車に乗った。目の前には恋人……未満の男女。
二人の話題は、女性が旅行先のドイツで食べたパンの話になっていた。どうやら食通である彼女にいいところを見せたい男は胸を張ってこう答えた。
「俺も食ったことあるよ、ドイツのパン!あれでしょ、」

--パンナコッタでしょ。

筆者、飲んでいた茶で溺れそうになる。
(パンナコッタとは、イタリア発祥のデザートで牛乳プリンのようなもの)

彼女は話を何層にも盛ってしまう男の気質を見抜き、むしろ愉快に手で男を転がし始めた。

へえ、それで?
パンナコッタ、私食べたことないわ。
どんなパンなの?

男の架空の蘊蓄は止まらない。

パンナコッタはスゴいんだ。レンガみたいに重くてでかくて硬くて、ドイツでは殺人事件の凶器になったこともあるんだぜ……云々。

*

私の頭の中では勝手に連想ゲームがスタートする。
想像してほしい。
白くてプルンと柔らかな食感のパンナコッタを片手に、殺人鬼が暗闇からぬらっと現れる姿を。悲鳴をあげながら後退りする美女の頭目掛けて力いっぱい振り下ろせば……プルンっ。
哀れな美女はパンナコッタがプルンプルンと揺れる光景を見ながら絶命するのである。

うたた寝のふりをして必死にこらえる筆者。
腹筋がひきつっている。
男女の隣に座っていた(パンナコッタが何たるかを知っていたのであろう)おじさんの、年末のガキ使スペシャルの松ちゃんみたいな表情は一生忘れないだろう。

*

それからしばらくして、あるとき漫画を読んでいた。寺沢大介作『喰いタン』である。
とある殺人事件。犯人が殺人(撲殺)に用いた凶器は--なんとパン。
いつぞやの見栄っ張り男が言っていた重くてでかくて固いドイツのパンだったのだ。
もちろん名前は『パンナコッタ』ではなかったが、電車内でのあの男女のやり取りを鮮明に思い出してしまい、息が止まるほど爆笑した。
ストーリーの詳細はここでは省くが、気になる方は『喰いタン パン』で検索か、実際に単行本を手にとっていただければ(何巻だったかな……)

*

私からの質問は『旅行先で体験した珍妙な出来事を教えてください』
コロナ禍で何処にも出掛けられない今、旅行の体験記だけではちょっぴり刺激に乏しい。
旅先の風習・文化の違いによって起きたハプニング、偶然出会ったヘンな人、ヘンな食べ物、ヘンな乗り物……是非お聞かせください。

Hoti
作成: 2020/04/26 (日) 18:29:38
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なんてこったですね……(どうしても言いたかった、すみません)。
ひとを殴り殺せるほどのパン……食べてるうちに顎がクッキングパパみたいになりそうです。
男性もウケ狙いだったのだと願っています。

次、やりまあす。