DJ-[更新]【焦点】バークシャー、チャブ株への投資公表 謎が明らかに
著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハサウェイは損害保険大手チャブへの多額の投資を公表し、 バークシャー信奉者の興味をかき立ててきた謎に答えを与えた。
15日の通常取引終了後に公開された規制当局への提出書類によると、3月末時点でバークシャーが保有していたチャブ株は67億ドル(約1兆500億円)相当だった。バークシャーは以前の提出書類を修正し、2023年後半にポジションを増やしていたことを示した。
チャブは世界最大手の上場損害保険会社の1社で、かつて保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の最高経営責任者(CEO)だったモーリス・グリーンバーグ氏の息子であるエバン・グリーンバーグ氏が率いている。チャブは最近、メリーランド州ボルティモアの崩落したフランシス・スコット・キー橋の保険会社として話題になった。
バークシャーにとって保険は主要な事業だ。自動車保険会社ガイコなど多くの保険会社を所有している。バフェット氏は直近の株主への手紙にこう記している。「損害保険(P/C)は、バークシャーのウェルビーイング(幸福)と成長の中核をなす」
チャブの株価は年初来12%高と、S&P500種株価指数の11%高をわずかにアウトパフォームしている。ファクトセットによると、チャブの株価は向こう12カ月の予想利益の11.3倍で取引されており、S&P500の20.6倍、S&P500の金融株指数の15.3倍に比べ割安に見える。
バークシャーの提出書類によると、同社が保有する米パソコン・プリンター大手HPの株式を1-3月期に売却したことも分かった。今月には、バークシャーが主要な投資先であるアップルの保有株を今年初めに減らしたことが明らかになっている。
米国株などの株式を1億ドル以上運用する機関投資家は、各四半期末時点の保有状況を米証券取引委員会(SEC)に提出する株式保有報告書「フォーム13F」で開示しなければならない。
だがバークシャーの23年7-9月期と10-12月期の提出書類には、同社が少なくとも1つの保有銘柄を記載せず、SECに機密扱いを要請していると書かれていた。投資家がポジションを非公開にすることを求める理由の一つは、開示によって進行中の売却または購入計画が世間に知られるような場合だ。
この書類を手がかりに、バークシャーが金融企業の株を買っているとの見方が出ていた。バークシャーは銀行・保険・金融のカテゴリーに属する株式投資の原価が上昇していると報告していた。
フォーム13Fの提出期限は四半期終了から45日以内で、そのためこの書類は、少し前の株式ポートフォリオのスナップ写真を提供することになる。それでも多くの投資家はバークシャーの提出書類を丹念に読み込み、バフェット氏やその投資代理人らが何を売買しているのかを確かめようとする。
この書類はネブラスカ州オマハで開催されたバークシャーの株主総会から2週間もたたない15日に提出された。株主総会では、バークシャーがアップル保有株をすでに約13%売却したとの開示があったにもかかわらず、バフェット氏はアップルを称賛した。バフェット氏はアップルについて、バークシャーの株式ポートフォリオの主要銘柄であるクレジットカード大手アメリカン・エキスプレス(アメックス)や飲料大手コカ・コーラよりも「さらに優れた企業」だと述べたうえで、保有株の一部を売却した判断には、税制上の考慮が関係している可能性を示唆した。
株主らは、バークシャーの保有するアップル株が年末時点で株式ポートフォリオの半分近くに拡大するのを興味深く見守っていた。売却後も、バークシャーは3月末時点で1354億ドル相当の株式を保有していた。