アルメア・ギャレット:天使ラーメン
2019/12/31 (火) 22:32:47
>> 80
「レビヤタン特大ラーメン……!」
やはり自分の観察眼は正しかったとアルメアは確信する。まるで西部劇に登場するバーでミルクを頼んだようなこの緊張感。間違いない。皇ハルナはラーメン上級者だ。
僅かに、アルメアの頬を冷や汗が伝う。女に語りかけるにはレビヤタン特大ラーメンの完食が必須。ツバメからは一度も耳にしたことのないルール(そんなものはないのだから当然である)だ。これは既に廃れた古の慣習と解釈するのが打倒だろう。そしてそれを彼女が口にした事実が示すのはハルナがツバメ以上の熟練者であり、天使ラーメンは彼女のフィールドであること。ラーメンに関しては素人で、レビヤタン特大ラーメンの存在すら知らなかったアルメアには圧倒的不利な状況にある。しかし。
「望むところさ」
アルメアは不敵に微笑み、挑戦状を叩きつけるかのようにカウンターに手を置いた。
「マスター! すまないが注文を訂正させてくれ! ────レビヤタン特大ラーメンを1つ!」
>> 82
打ちっぱなしコンクリートの店内に響くどよめきに背を向けたアルメアは次いでシヅキに向き直る。
「この指輪がない、素晴らしい指摘だ。君は良いセンスをしているよ神坂クン。正直なところ私も同感だ。出来ればこんなものは今すぐ捨ててしまいたいが……存外便利なんだよこの指輪は」
男を見せろ。その一言がナンパ男の自尊心に久々に火をつけた。
「レビヤタンだか特大だか知らないが、見事完食し君を射止めて見せようじゃないか!」
天使ラーメンの店内で、蒸気に籠もる熱気が僅かに増した。
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