影見ツクシ/スバル
2019/12/31 (火) 23:59:57
>> 113
「む……なんです、その笑顔は」
突如として浮かべたその笑みに、少し警戒する。前後の文脈から笑顔になる要素がないはず……と考えている以上、突然笑ったトウマを不審に思ってしまうのは、仕方のないことであった。
スバルが来てからの暮らし向き、そして性格の変化。自分自身のことに、自分で気づくというのは、難しいもので。彼の内心を窺えるほど、人生経験を積んでいる訳でもなく。
結果、笑ったままの彼の意図を読み取れなかったツクシは、そのうちふてくされ気味に、追求を止めた。
「……あ。ひとがたくさんきました」
ふと、スバルがそんなことを言う。見渡してみると、人々が境内に掲げられた電光掲示板を見上げている。其処に刻まれたカウントダウンは、残り一分を切っていた。
「……スバル。よく見ておいて。これが、「年越し」よ」
口に出して、カウントダウンをする。残り、30秒を切った。
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