まず仕掛けたのはバーサーカー、手近にあった鉄柱を持ち上げるとそのまま振り下ろす。
対してブラックスミスはそれを難なく避ける。
さらにバーサーカーの攻撃が続く、今度は壁を破壊して瓦礫を飛ばしてきた。
これには流石のブラックスミスも避けきれずいくつか食らう。しかし、致命傷には至らない。
次にブラックスミスは何かを取り出した。それは一冊の古びた本。表紙の文字を見る限り魔術書の類だろうか。
それを開き、呪文のようなものを唱え始めた。すると、黒い炎のような物が吹き出し、バーサーカーに襲いかかる。
「おおっと! ここでブラックスミス選手の攻撃が決まったァ!」
確かに決まったように見えたのだが、当のバーサーカーは全く効いていない様子。
逆にバーサーカーの方からも反撃が来る。巨大な拳が繰り出され、それをまともに受けたブラックスミスは大きく飛ばされ、地面に叩きつけられる。「ぐっ……!?」
かなりのダメージを負ったのか、ブラックスミスはそのまま動かなくなる。
どうやら気絶してしまったようだ。
「ああっ、これはまずいぞ! バーサーカーの勝利かと思われたその時、なんとブラックスミスが意識を取り戻したああ!!」
そしてそのまま立ち上がり、再び戦闘態勢に入る。
「まだやる気なのか、あいつ……」
「そのようですね」
しかし、そんな状況でも、ブラックスミスは戦い続ける。今度は剣を構え、果敢に攻めていく。
対するバーサーカーも応戦し、両者の攻防が続く。
そして、一瞬の隙を突いて、ブラックスミスの攻撃が決まる。
それは、今までで一番大きいダメージを与えた一撃であった。
「おおっと、ここでついにブラックスミスの攻撃が決まったああ!」
「すげぇ、やるじゃねぇかアイツ!!」
「いけえ、ぶっ殺せ!!」
「あのバーサーカーに勝てるかも!!」
「頑張ってください!!」
観客たちからの声が飛ぶ。
だが、それでもバーサーカーはまだ倒れない。
バーサーカーが手に持っていた武器を構える。それは大ぶりの剣だった。
「お、おいあれってまさか……」
「そう、彼が持っているのは不毀の極刃。その名の通りの宝具です!!」
「不毀の極刃、だと?」
ブラックスミスは、それが何を意味するか理解しているらしく、少し焦っているようにも見える。
「なぁ、アレやばくね?」
「だよなぁ……。あんなの食らったら死ぬんじゃねぇの?」
「だな……」
「いいから黙って見てろよ。面白いからよぉ!!」
観客たちも不安を感じているらしい。