「まだだ……まだ……!」
「………………」
「負けられないんだよ……俺は……!」
「………………」
「だから………………死ね。」
クロイソスは右手に持っていた槍を放り捨て、空いた手でコインを生成し始める。
そしてそれを、渾身の力を込めて投擲してきた。
「ッ!くっ……!」
「ぬおっ……!」
ペルカードは避けようとするが、間に合わない。
彼は咄嵯に右腕を前に出し、防御の姿勢を取った。
しかし、衝撃は来なかった。
ペルカードが顔を上げて見ると、クロイソスの姿が無い。
慌てて周囲を見回すと、上空高くからこちらを見下ろすクロイソスを発見した。
どうやら、ペルカードの頭上を飛び越え、背後を取っていたようだ。
「終わりだ!!」
クロイソスは左手に持った剣を突き出す。「……!」
ペルカードは振り向きざまに槍を振るおうとする。しかしその前に、クロイソスの放った刃先がペルカードの心臓を貫いた。
「……!」
ペルカードは目を大きく見開く。
それと同時に、胸元に強烈な痛みを感じた。
しかし、それも束の間。
意識が薄れていき、何も考えられなくなる。
目の前が暗くなっていき、全てが闇に包まれていく。
最後に聞こえたのは、クロイソスの呟きだった。
「さようなら、我が宿敵よ……」
(………………そうか……そういう事だったのか……)
その言葉を最後に、ペルカードの思考は途絶えた。
————
「……」
「……」
静寂がその場を支配する。
ペルカードの身体は崩れ落ち、地面に倒れ伏した。
クロイソスはその様子を、じっと見つめている。
やがて、彼が口を開いた。
「勝ったぞ、イアソン。お前との約束通り、仇は取ったぞ。」
クロイソスは空に向かって語りかける。
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