まず最初に動いたのはアサシンだった。彼は口を大きく開き息を思いっきり吸い込む。そして―――
「~~~♪!!!!」
彼の口から大音量で放たれた歌声は衝撃波となり、会場全体を揺るがせた。
あまりの爆音に耳を塞いだ者もいれば気絶する者もいた。
そんな中でもロゼはなんとか耐えきり、一歩前へ出る。
「……ふんっ、それがどうしたっていうのかしら?」
彼女は不敵な笑みを浮かべながらそう言う。
それに対し、アサシンはまたも大きく息を吸う。しかし今度はすぐには撃たなかった。
代わりに彼は、歌うように喋り始めた。
「♪~」
その声色はまるで天使のような慈愛に満ちたものだった。だが、それを聞いている内にロゼは徐々に気分が悪くなっていくのを感じた。
(なにこれ……。頭がくらくらして……。立ってられない!)
立っているのも辛くなりその場に座り込んでしまう。
それを好機と捉えてか、アサシンはさらに言葉を紡ぐ。「♪~~♪~~~♪♪♪」
それは次第に歌へと変わっていく。そしてそれに呼応するように観客たちが次々と倒れていく。
そしてついにはロゼ自身も意識を失ってしまった。ライダーは倒れた彼女の体を受け止め、そのまま抱きかかえる。そして歌い続けるアサシンを睨みつけながら静かに呟いた。
「許さないぞ。僕のマスターを傷付けた罪、万死に値する!」]
「!?︎」
アサシンはその言葉を聞き、咄嵯にその場を離れようとしたその時だった。彼の胸元に衝撃が走り、そのまま壁まで吹き飛ばされる。壁に叩きつけられ床に崩れ落ちた彼は、自分が攻撃されたことに気づく。しかし、何が起きたのか分からなかった。何故ならその一撃は彼の予想以上に重く、彼が受けたダメージは決して軽くはなかったからだ。
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