kagemiya@なりきり

サーヴァントバトルコロッセオ / 13

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13

その頭を踏みつける。ぐりぐりと、踏み躙るように。
バーサーカーの目が見開かれる。
そこに映るのは怒りではない。
憎しみでもない。
ただ、退屈。それだけだ。
つまらない。ただひたすらにつまらん。
そう感じている。
この男の本性は、おそらくこちらだろう。観客を、作品を、己自身を、愛している。
だからこそ、それらを傷つけられることを何よりも嫌う。
だが、同時に、彼は、自分自身もまた、作品の一つなのだと考えている。
彼の作品は、彼自身。
そして、彼の作品に傷をつけることは、彼にとって、自分を傷付けられることに等しい。
だから、許せないのだ。自分の作品が、他人によって汚されることを。
「俺は、俺の作品は完璧であるべきだ。それは、俺自身が最高傑作であるという証明でもあるからだ。それを、否定する奴がいる。ふざけるんじゃねぇぞ。誰であろうと、絶対に許さん。俺が、俺の作品を侮辱することは……俺自身を否定することだ。俺が俺を殺せば、作品は完成しなくなる。俺が俺の作品を殺すということは、俺を俺が殺すのと同義だ」
「…………」
「お前は、俺を怒らせた。俺の作品に泥を塗った。お前のようなクズには死すら生温い。俺の怒りを知れ。悔い改めよ。それが、お前にできる唯一の贖罪であり救済だ」
「Astorfooooooooooo!!!!!!!!」
「お前に、俺の最高傑作をくれてやる。ありがたく思え。お前に相応しい舞台を用意してやった。お前が俺と戦うのに相応しくない場所だと? 馬鹿を言うな。俺の戦いにふさわしい場所はここしかない。さあ、戦おうぜ。最高の演者同士による、最高の舞台で、最高に楽しく、最高に派手に、最高に盛り上がって、最高に、最高に、最高に、最高に、最高に、最高に、最高に、最高に、最高に、最高に!最高な戦いを始めようじゃねぇか!」
「Astolfooo!!! Fooooaaahhh!!!」
「俺が憎いか。俺が殺したいか。いいとも! 来いよベネット! その怒り、憎悪、殺意、全て受け止めてやろう! お前はそこで見ていればいい! お前のために用意した、最高に楽しい余興を、とくと味わってくれ!!」
「Astorfoooooooooo!!!」
「行くぞオラァアアッッ! 俺の最高傑作を、テメェに叩き込んでやるよォオオオオッ!!」
「Astolffu!!! Astoldouf!(アストルフォ!!!ああ、素晴らしい!)」バーサーカーは、手にした剣を振り上げた。
まるで、獣のように。
そして、彼は叫んだ。
それは、まさに。
獣の雄叫びだった。
バーサーカーの宝具、『不毀の極刃(ドゥリンダナ)』が振り下ろされる。ブラックスミスは、避けない。
そのまま立ち尽くしている。
直撃すれば、間違いなく即死だろう。だがブラックスミスは、微動だにせずそれを待ち構えている。
「FuOooooooo!!!!」
「…………」
そして、ついに。
彼の脳天目掛けて『不毀の極刃(ドゥリンダナ)』が落下し。
その瞬間、ブラックスミスの姿が消えた。

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