「な、なにをしている!?」
「ちょ、ちょっと、グロすぎますよ!!」
「血だらけじゃねぇか!!」
「ほら、見てくれ。この傷を。痛々しいだろ。だから、お前達の心に訴えかけているんだよ。お前達を楽しませるために、あえてこんなことをしたんだ。どうか許してくれないか。お前達を喜ばせるためなら、どんなことでもするから。なぁ、頼むよ。なぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁ」
「な、なにがお前をそこまでさせるんだ……!?」
「俺を楽しませてどうするつもりだ!!」
「ひいっ!!」
「こ、怖い!!」
観客は悲鳴をあげる。ブラックスミスは笑顔のまま、無言で彼らの顔を見ている。
「た、助けて!!」
「た、たすけてー!!」
彼らは泣きながら逃げ出した。
「待ってくれよぉ!!」
「置いてかないでくれよぉ!!」
「俺はお前らに最高のエンターテイメントを提供するぞぉ!!」
「嫌だぁあああ!!」
「たすけてぇえええ!!」
「俺を置いていかないでくれよぉ!!」
こうなってはもはや試合どころではない。観客は皆逃げていき、残っているのはブラックスミスとバーサーカーだけになった。
「おい、バーサーカー。あいつらを追っかけようぜ。俺が連れてきてやるからよ。なに、簡単さ。追いかけっこだよ。お前が逃げる連中を追いかければいい。そして全員捕まえたら勝ちだ。簡単だろ? なぁ、やろうぜ?やらないのか? あ? やれよ。なぁ。俺と遊ぼうぜ。なぁ、なぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁ!!」
「Astolfoooooooooooo!!!!」
バーサーカーが走り出した。ブラックスミスは剣を構える。
「ふんぬぅうううううう!!」
バーサーカーがブラックスミスをぶん殴った。吹っ飛ばされる。
「なにやってんだよぉおおお!! もっと俺を楽しませろよぉ!!俺は……俺の作った物を楽しんでくれる観客が好きなだけだ!!」
「Astolfoooooo!!!!」
「うるせぇよ!! 俺が楽しむには観客が必要なんだよ!! 俺が満足するためにお前らは存在するんだ!! そうだろぉお!?」
「Astolfo!!」
「なに言ってるか分かんねぇよぉおお!! 黙って殴られやがれ!!」
「Astorfooooooooo!!」
「ぐわぁああ!!」
ブラックスミスがぶっ飛んだ。
「もういい。飽きた」
「Astolfo?」
「なぁんか、面白くねぇよなぁ。俺が作ればもっと面白いはずなのによ。なにがいけねぇんだ? もっと観客を沸かせられるはずだ。もっと観客を喜ばせてやりゃあ俺も嬉しい。俺が楽しい。お前らも楽しい。それで良いじゃねぇか。なんでそれができねぇ?」
「Astorfoooo!」
「なにを怒ってるのか知らねぇけど、俺が気に食わないなら、殴り返してみろよ。ほぉら、どうした。来いよ! なぁ!!」
「Asto-」
「遅いッ!!」ブラックスミスが腹パンをぶち込んだ。
バーサーカーが膝をつく。