泥モザイク市より、影見ツクシがいつからかつけ始めた日記帳……という体のSSを投げる場。
20XX/○○/○○ 初めての日記? センセイから日記帳をもらった。 こんなの使わないと言ったけど、良いから良いからと押し付けられてしまった。 もらってしまったものを捨てたり人にあげたりするのも、なんだか良くない気がする。 しまっておくのも失礼な気がするし、折角だから何か書いてみようと思う。
今日は仕事はなかった。朝から学校で授業。 数学と物理の授業はキライだ。 徳元先生の声は眠たいし、問題を解かされるばっかりで楽しくない。 でも、ココノとゆっくり話す時間があった。久しぶりに話せた気がする。 駅の近くに最近新しい、スイーツビュッフェ?の店が出来たとか。お金があれば是非とも行きたい。
……書くことがなくなったので、今日はここまでにする。 日記って、これでいいのかな?
20XX/○○/○○ 日記の使い方 日記の使い方をセンセイに聞いた。 特に決まったやり方はなくて、好きに使えばいいらしい。 昨日書いたことを見せたら、あれでもいいとか。 こんな感じでいいなら、もう少し書き続けられそうかも。
今日はうねりさんから仕事の連絡が入った。 依頼主の名前は袴田陽平さん。難波の下層から梅田のターミナルまで、追手のサーヴァントから逃げたいらしい。 サーヴァントの真名はオラ。南アジアに生息しているコモドオオトカゲというトカゲの英霊らしい。 ……聞いても全然分からなかったから、ちゃんと調べておこうと思う。 予定日時は明明後日の午前3時。辿り着きさえすれば、後はうねりさんの手配で逃げられるとか。 目的地的に、基礎構造を抜けるよりは、三都連絡道路の下を走る方が早そう。気配察知や直感の類はないらしいから、素直に隠密の護符を買っておこう。
学校の方は、特に何もなかった。狛原先生の神話学を総合の時間枠で受講させてもらったのが、いつも通り楽しかったくらい。 今日はセンセイの個人授業もなくて、西村先生のお手伝いをして帰ってきた。 そろそろビオトープに住んでるメダカの産卵が見られるらしいから、楽しみにしておこう。
そういえば、ココノから聞いたお店を覗いてみた。お洒落な感じで、スイーツがたくさん置いてあった。 お金を払えばあれが食べ放題だなんて、ちょっと信じられない。元は取れないけど、一度は行ってみたい。
今日はここまで。昨日よりはたくさん書いたな。
20XX/○○/○○ 大雨 大雨。傘を差すにも風が強くて動きにくい。 仕方ないから、今日は1日家にいた。
……何も書くことがない。家にいてもやることなんかない。 せいぜい、廃棄物(ジャンクマテリアル)の整備をしたくらいのものだ。 でも、少しだけ本は読んだ。旧世界時代の小説らしくて、『恩讐の彼方に』、という題名だった。 復讐、仇討ちのために生きてきた人が、仇が心の底から改心して人のために働いているのを見て、仇討ちをやめて協力する……という筋書き。 私自身、そこまでの憎しみに駆られたことはない。憎まれることはあっても、私がそこまでの思いを向ける相手は、そんなにいない。 今だったら……どうだろう。ココノやアマナ、学校の先生達が殺されたら、そこまで怒れるのかな。 殺してやろうとまで思うほど、誰かを大事に思えているのかな。 私は、そんなに情のある人間なのかな。
20XX/○○/○○ 調査と買い物 今日は仕事に向けての準備に終始。学校の授業はセンセイの個人指導だけだったから、早めに帰って来れた。 最初は、詩遠さんにも手伝ってもらって、大学の図書館に。都市情報網では、今や遠くなってしまった外国のマイナーな神話や伝承は調べきれなかった。 まず、コモドオオトカゲのことを調べた。昔は本物の竜と勘違いされたこともあるらしい、大きなトカゲだ。 毒の牙を持っていて人間も食べてしまう、言ってしまえば害獣にも近い存在だけど、生息地の人には親しまれていたとか。 その理由が、現地の人間の遠い親戚だという伝説があるから、らしい。前に狛原先生にも聞いた、トーテムという概念に似ているのかも。 そして、その伝説に登場するのが、オラというメス? 女性? のコモドオオトカゲらしい。 特に神様だとか、そういう話はないし、凶悪な能力が伝わってるわけでもない。ただ、コモドオオトカゲとしての生物の力をサーヴァントの出力で
その後は、難波のアングラ街に。リアニメイトの店主さんに連絡を入れて、廃棄物(ジャンクマテリアル)で良さそうなのを見繕ってもらっていた。 見つからないのが一番だから、ちょっと高いけど、隠密の護符も。どちらもいい買い物になった。支払った金額的にも。 それから、帰り道に下調べ。明後日には通る場所だし、これまで何回も使ってはいるけど、様子を見るのは大切。 見た感じ、明日までに何か特別な行事があるわけでもないし、工事もない。問題なく通れる。
通りいっぺん確認したら、帰りしなに梅田で買い物をして帰った。そろそろフレークと牛乳もなくなるところだったから、ちょうどよかった。 ……残りの量も少なくなってきたし、明後日にでもちょっと贅沢に食べちゃおうかな。
追伸。途中で書き損じたところがあるから、忘れないうちに。 オラが、サーヴァントとしての出力で、コモドオオトカゲとしての力を振るったら、多分それなりに厄介だ。解呪じゃなくて、解毒を考えた薬とか、持っていった方がいいかも。
20XX/○○/○○ 仕事 深夜に起き出して、難波の下層へ。そこで袴田さんと合流して、梅田へ向かった。 道中、檜扇組の人達がいたけど、サーヴァントの目も含めて上手くかわせた。都市戦争の時でもなければ、魔力が僅かしか流れないサーヴァントの能力は万全とはいかない。その辺も踏まえて、高いお金を出して隠密の護符を買ったんだ。 あとは、構成員とサーヴァントの組み合わせを頭に入れて、どうしてもかわせなさそうなところを避けていくだけでいい。鉄火場になるのをわかっているから、最悪戦闘になった時に力を出せるよう、主従はぴったりくっついてるはずで、それは実際に当たってもいた。おかげで、ルートを作るのは簡単だった。 そして、袴田さん自身のサーヴァントであるオラとも、上手く「縁を切れた」と思う。隠蔽術式は少なくともあと数日は持つ。それまでに、要石を失ったオラは、きっと退去せざるを得なくなるはずだ。 ……今回、依頼人が逃げることを優先していたのも、多分幸いした。あれだけ荒れ狂いかけたバーサーカーを刺激していたら、きっと私も死んでいただろうし。 何をしたのかを詮索する気はないけど、きっと袴田さんは、これからもろくでもないことを引き起こすのだと思う。でも、仕事が終わったら、それも関係ない。相手が誰でも私は仕事をすると決めているし、その後のことは、自分で切り開くしかない。 何となく、アマナの顔が浮かぶ。もしかしたら、そういうことがあるかもしれない。でも、それは私には、どうしようもない。
でも、今回一番大変だったのは、当初想定していたオラよりも、難波のあの人だった。ミナミの辻切り。何回も逃げおおせたせいで、あの人は私を捕まえようと必死だ。 檜扇組から多分連絡が行ったんだろう。基礎構造は組員が、連絡道路の方は警邏隊が抑えていた。 迂闊に顔を見られるわけにもいかないし、かといっていつまでも様子を見ているわけにもいかなかった。仕方ないから、ちょっと騒ぎを起こすことにした。というか、元々起こす予定ではあったんだけど。 万が一のために用意していたのが、センセイが融通してくれたパーティーグッズ。花火とかをポンポン打ち上げるびっくり箱と、大きな音を立てる爆竹。タイマーで起動するようにして、檜扇組のビル近くにたくさん仕掛けてきた。 これが次々起動したから、警邏隊も大騒ぎ。気分を盛り上げる簡単な暗示魔術付きだったから、見ていた通行人が騒ぎを起こし始めて、そのうち応援に呼ばれてみんないなくなった。
今日は本当に疲れた。予定してないことへの備えもしておけっていうのも大変だ。 久しぶりにちゃんとお風呂に入りたい。一昨日の雨水を沸かすの、大変だけど。 あー、本当にどうしようかーーーーーーーーーーーーーーー〜〜〜〜〜
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20XX/○○/○○ 初めての日記?
センセイから日記帳をもらった。
こんなの使わないと言ったけど、良いから良いからと押し付けられてしまった。
もらってしまったものを捨てたり人にあげたりするのも、なんだか良くない気がする。
しまっておくのも失礼な気がするし、折角だから何か書いてみようと思う。
今日は仕事はなかった。朝から学校で授業。
数学と物理の授業はキライだ。
徳元先生の声は眠たいし、問題を解かされるばっかりで楽しくない。
でも、ココノとゆっくり話す時間があった。久しぶりに話せた気がする。
駅の近くに最近新しい、スイーツビュッフェ?の店が出来たとか。お金があれば是非とも行きたい。
……書くことがなくなったので、今日はここまでにする。
日記って、これでいいのかな?
20XX/○○/○○ 日記の使い方
日記の使い方をセンセイに聞いた。
特に決まったやり方はなくて、好きに使えばいいらしい。
昨日書いたことを見せたら、あれでもいいとか。
こんな感じでいいなら、もう少し書き続けられそうかも。
今日はうねりさんから仕事の連絡が入った。
依頼主の名前は袴田陽平さん。難波の下層から梅田のターミナルまで、追手のサーヴァントから逃げたいらしい。
サーヴァントの真名はオラ。南アジアに生息しているコモドオオトカゲというトカゲの英霊らしい。
……聞いても全然分からなかったから、ちゃんと調べておこうと思う。
予定日時は明明後日の午前3時。辿り着きさえすれば、後はうねりさんの手配で逃げられるとか。
目的地的に、基礎構造を抜けるよりは、三都連絡道路の下を走る方が早そう。気配察知や直感の類はないらしいから、素直に隠密の護符を買っておこう。
学校の方は、特に何もなかった。狛原先生の神話学を総合の時間枠で受講させてもらったのが、いつも通り楽しかったくらい。
今日はセンセイの個人授業もなくて、西村先生のお手伝いをして帰ってきた。
そろそろビオトープに住んでるメダカの産卵が見られるらしいから、楽しみにしておこう。
そういえば、ココノから聞いたお店を覗いてみた。お洒落な感じで、スイーツがたくさん置いてあった。
お金を払えばあれが食べ放題だなんて、ちょっと信じられない。元は取れないけど、一度は行ってみたい。
今日はここまで。昨日よりはたくさん書いたな。
20XX/○○/○○ 大雨
大雨。傘を差すにも風が強くて動きにくい。
仕方ないから、今日は1日家にいた。
……何も書くことがない。家にいてもやることなんかない。廃棄物 の整備をしたくらいのものだ。
せいぜい、
でも、少しだけ本は読んだ。旧世界時代の小説らしくて、『恩讐の彼方に』、という題名だった。
復讐、仇討ちのために生きてきた人が、仇が心の底から改心して人のために働いているのを見て、仇討ちをやめて協力する……という筋書き。
私自身、そこまでの憎しみに駆られたことはない。憎まれることはあっても、私がそこまでの思いを向ける相手は、そんなにいない。
今だったら……どうだろう。ココノやアマナ、学校の先生達が殺されたら、そこまで怒れるのかな。
殺してやろうとまで思うほど、誰かを大事に思えているのかな。
私は、そんなに情のある人間なのかな。
20XX/○○/○○ 調査と買い物
今日は仕事に向けての準備に終始。学校の授業はセンセイの個人指導だけだったから、早めに帰って来れた。
最初は、詩遠さんにも手伝ってもらって、大学の図書館に。都市情報網では、今や遠くなってしまった外国のマイナーな神話や伝承は調べきれなかった。
まず、コモドオオトカゲのことを調べた。昔は本物の竜と勘違いされたこともあるらしい、大きなトカゲだ。
毒の牙を持っていて人間も食べてしまう、言ってしまえば害獣にも近い存在だけど、生息地の人には親しまれていたとか。
その理由が、現地の人間の遠い親戚だという伝説があるから、らしい。前に狛原先生にも聞いた、トーテムという概念に似ているのかも。
そして、その伝説に登場するのが、オラというメス? 女性? のコモドオオトカゲらしい。
特に神様だとか、そういう話はないし、凶悪な能力が伝わってるわけでもない。ただ、コモドオオトカゲとしての生物の力をサーヴァントの出力で
その後は、難波のアングラ街に。リアニメイトの店主さんに連絡を入れて、廃棄物 で良さそうなのを見繕ってもらっていた。
見つからないのが一番だから、ちょっと高いけど、隠密の護符も。どちらもいい買い物になった。支払った金額的にも。
それから、帰り道に下調べ。明後日には通る場所だし、これまで何回も使ってはいるけど、様子を見るのは大切。
見た感じ、明日までに何か特別な行事があるわけでもないし、工事もない。問題なく通れる。
通りいっぺん確認したら、帰りしなに梅田で買い物をして帰った。そろそろフレークと牛乳もなくなるところだったから、ちょうどよかった。
……残りの量も少なくなってきたし、明後日にでもちょっと贅沢に食べちゃおうかな。
追伸。途中で書き損じたところがあるから、忘れないうちに。
オラが、サーヴァントとしての出力で、コモドオオトカゲとしての力を振るったら、多分それなりに厄介だ。解呪じゃなくて、解毒を考えた薬とか、持っていった方がいいかも。
20XX/○○/○○ 仕事
深夜に起き出して、難波の下層へ。そこで袴田さんと合流して、梅田へ向かった。
道中、檜扇組の人達がいたけど、サーヴァントの目も含めて上手くかわせた。都市戦争の時でもなければ、魔力が僅かしか流れないサーヴァントの能力は万全とはいかない。その辺も踏まえて、高いお金を出して隠密の護符を買ったんだ。
あとは、構成員とサーヴァントの組み合わせを頭に入れて、どうしてもかわせなさそうなところを避けていくだけでいい。鉄火場になるのをわかっているから、最悪戦闘になった時に力を出せるよう、主従はぴったりくっついてるはずで、それは実際に当たってもいた。おかげで、ルートを作るのは簡単だった。
そして、袴田さん自身のサーヴァントであるオラとも、上手く「縁を切れた」と思う。隠蔽術式は少なくともあと数日は持つ。それまでに、要石を失ったオラは、きっと退去せざるを得なくなるはずだ。
……今回、依頼人が逃げることを優先していたのも、多分幸いした。あれだけ荒れ狂いかけたバーサーカーを刺激していたら、きっと私も死んでいただろうし。
何をしたのかを詮索する気はないけど、きっと袴田さんは、これからもろくでもないことを引き起こすのだと思う。でも、仕事が終わったら、それも関係ない。相手が誰でも私は仕事をすると決めているし、その後のことは、自分で切り開くしかない。
何となく、アマナの顔が浮かぶ。もしかしたら、そういうことがあるかもしれない。でも、それは私には、どうしようもない。
でも、今回一番大変だったのは、当初想定していたオラよりも、難波のあの人だった。ミナミの辻切り。何回も逃げおおせたせいで、あの人は私を捕まえようと必死だ。
檜扇組から多分連絡が行ったんだろう。基礎構造は組員が、連絡道路の方は警邏隊が抑えていた。
迂闊に顔を見られるわけにもいかないし、かといっていつまでも様子を見ているわけにもいかなかった。仕方ないから、ちょっと騒ぎを起こすことにした。というか、元々起こす予定ではあったんだけど。
万が一のために用意していたのが、センセイが融通してくれたパーティーグッズ。花火とかをポンポン打ち上げるびっくり箱と、大きな音を立てる爆竹。タイマーで起動するようにして、檜扇組のビル近くにたくさん仕掛けてきた。
これが次々起動したから、警邏隊も大騒ぎ。気分を盛り上げる簡単な暗示魔術付きだったから、見ていた通行人が騒ぎを起こし始めて、そのうち応援に呼ばれてみんないなくなった。
今日は本当に疲れた。予定してないことへの備えもしておけっていうのも大変だ。
久しぶりにちゃんとお風呂に入りたい。一昨日の雨水を沸かすの、大変だけど。
あー、本当にどうしようかーーーーーーーーーーーーーーー〜〜〜〜〜