20XX/○○/○○ 仕事
深夜に起き出して、難波の下層へ。そこで袴田さんと合流して、梅田へ向かった。
道中、檜扇組の人達がいたけど、サーヴァントの目も含めて上手くかわせた。都市戦争の時でもなければ、魔力が僅かしか流れないサーヴァントの能力は万全とはいかない。その辺も踏まえて、高いお金を出して隠密の護符を買ったんだ。
あとは、構成員とサーヴァントの組み合わせを頭に入れて、どうしてもかわせなさそうなところを避けていくだけでいい。鉄火場になるのをわかっているから、最悪戦闘になった時に力を出せるよう、主従はぴったりくっついてるはずで、それは実際に当たってもいた。おかげで、ルートを作るのは簡単だった。
そして、袴田さん自身のサーヴァントであるオラとも、上手く「縁を切れた」と思う。隠蔽術式は少なくともあと数日は持つ。それまでに、要石を失ったオラは、きっと退去せざるを得なくなるはずだ。
……今回、依頼人が逃げることを優先していたのも、多分幸いした。あれだけ荒れ狂いかけたバーサーカーを刺激していたら、きっと私も死んでいただろうし。
何をしたのかを詮索する気はないけど、きっと袴田さんは、これからもろくでもないことを引き起こすのだと思う。でも、仕事が終わったら、それも関係ない。相手が誰でも私は仕事をすると決めているし、その後のことは、自分で切り開くしかない。
何となく、アマナの顔が浮かぶ。もしかしたら、そういうことがあるかもしれない。でも、それは私には、どうしようもない。
でも、今回一番大変だったのは、当初想定していたオラよりも、難波のあの人だった。ミナミの辻切り。何回も逃げおおせたせいで、あの人は私を捕まえようと必死だ。
檜扇組から多分連絡が行ったんだろう。基礎構造は組員が、連絡道路の方は警邏隊が抑えていた。
迂闊に顔を見られるわけにもいかないし、かといっていつまでも様子を見ているわけにもいかなかった。仕方ないから、ちょっと騒ぎを起こすことにした。というか、元々起こす予定ではあったんだけど。
万が一のために用意していたのが、センセイが融通してくれたパーティーグッズ。花火とかをポンポン打ち上げるびっくり箱と、大きな音を立てる爆竹。タイマーで起動するようにして、檜扇組のビル近くにたくさん仕掛けてきた。
これが次々起動したから、警邏隊も大騒ぎ。気分を盛り上げる簡単な暗示魔術付きだったから、見ていた通行人が騒ぎを起こし始めて、そのうち応援に呼ばれてみんないなくなった。
今日は本当に疲れた。予定してないことへの備えもしておけっていうのも大変だ。
久しぶりにちゃんとお風呂に入りたい。一昨日の雨水を沸かすの、大変だけど。
あー、本当にどうしようかーーーーーーーーーーーーーーー〜〜〜〜〜