電子の海の残骸
2022/02/01 (火) 00:32:09
>> 13
「そうなのかなぁ? 多分そうなのかなー。ごめん、実はよくわかってないや」
嘘をついても仕方がないし、自分にわかる範囲で答えてみる。
どうだろう、鉄道には乗車賃がいるそうだけれど、そんなものを払った覚えはない。すると、私は無賃乗車をしているのか、それともそもそも乗客じゃないのか。
「そういう風に質問するってことは、そっちも似たような立場なのかな?
とにかく人がいて良かったなあ。これで誰も居なかったら、ひたすら歩き回ってるとこだったよ」
これは少しだけ不正確。私の性格を思えば、多分そのうち探すこと自体を諦めただろう。
だから、ある意味こうして人に出会えたのは、幸運だったと言えるのかもしれない。
とりあえず、ただそこにあるだけで時間を過ごすようなことは避けられたから。
ともかく、もう少し会話してみよう。まともな話が通じる相手は、久しぶりな気がする。
「えーと、君……と、そっちのお兄さんのお名前は?
あ、私は名前忘れちゃってるから教えられないんだ、ごめんねー」
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