神殿には、ザリエルの忠実なしもべであり、天の血を引くアアシマールたるイェイエルの亡霊が一行を待っていた。
その傍に、喜びと、罪悪感を浮かべたルールーを連れて。
リックは言った。
「単刀直入に聴こう。どうしてほしい? その剣を、俺たちに」
イェイエルの霊は言った。
「この剣は、ザリエルを善の大義に立ち戻らせるための最後の縁」
「ソード・オヴ・ザリエルをその手に携え、ザリエルを救ってほしいのだ」
「この剣は"試し"によって選ばれし者しか持つことは許されない」※
「選ばれし者は…二人」
「リック・スワーヴ。ザリエルの眷属であり、そして主たるラサンダーの聖騎士でもある」
「そして、バルンガ。勇敢無双たるトームの聖戦士」
この言葉を聴くと、オルガは前に出る。
「ならばその剣、私に預けて頂くことはできないでしょうか」
「私には救いたいものがあります、エルタレルの皆を、今も地獄にとらわれたヘルライダーズを…そして…」
「ザリエルを、私の全てを捧げてでも」
ルールーが「それは…!」と声をあげる。
イェイエルは、そんなオルガに全てを説明し、選択を投げかけるのだった。
〇ソード・オヴ・ザリエルはザリエルの最後の良心であり、聖性であること
〇これを定命の者が手にすれば、今の人格は失われ、天使へと昇格すること
〇これを、天使ザリエルと魂を分かち合うオルガが持つという事は、オルガという人間が失われ、新たなるザリエルが誕生するということ
その場合、ザリエルという存在を救うには、アーチデヴィル・ザリエルを倒し、魂を統合するしかなくなるということ
今まで幾度となく問われてきた、オルガであるかザリエルであるか、の決着がここで問われたのだ。
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※"試し"の基準とは
『命、魂…あらゆる全てを投げうってでも、悪と戦い、無力な人々を救う覚悟があるか?』の問いに、
迷わず「そうだ」と答えられた者のみが剣を持つ資格を得る。
剣を手にすると文字通り「全てを失う」為、必要な覚悟を問うていた。
何故オルガが資格を問われなかったのか?という点については、
その魂が本来の持ち主であるザリエルの魂であったから、ということ。